身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

Webで公開日記を書くということ。

 サービスプロバイダーからの選りすぐり記事というものに、私はあまり、目を通さない。それでも、はてなブログの「記事ピックアップ」に取り上げらたら(遠い昔の話になってしまった)アクセス数も上がったので、それなりに読んでいる人はいるのだろう。ただ、PVだけ上がってセッション維持時間も低いしバウンスレートも高いので、私としては、それは良い現象だとは思っていない。

 そんな中、「週刊はてなブログ」で紹介されていた、この記事に目が行った。

blog.hatenablog.com

 

 私は、日記を書いている。古い日記帳は、なぜか金属製時代のゼロ・ハリバートンのトランクに入れて仕舞っているので重くて開けることはないが、恐らく30年は書いているのではないかと思う。最悪の状態で会社に勤めていたときの記録も、自殺未遂をしたときの記録も残っている、いわば私のライフレコードのようなものである。

 今も、このBlogとは別に日記を付けていて、歳を取って精神病が嵩じてから字が読めなくなっているので、このBlogを開設したときから日記帳に付けると同時に非公開のBlogに入力している。けっこうな手間であるが、このBlogを書くことに比べると、まったく苦にならない(このBlogを書くのは、けっこう苦痛)。

 インターネット黎明期に(この「週刊はてなブログ」の古賀さんの例だと2,000年ごろ)、個人サイトを持つのが流行った。まだ個人でドメインが取れる時代でなく、「http://ISPドメイン~(チルダ)ユーザー名」というURLで運用していた。私のサイトのアドレスは「http://netlaputa.ne.jp/~k-yu」だった。中には、サブドメインJPNICから割り当ててもらって「名前.itabashi.tokyo.jp」などというドメインで運用していた強者の友人もいた。半素人の私がDNSの書き換えなどをしていた恐ろしい時期だった。

 私が愛読している鷺沢萠氏のサイトも、そんなサイトのひとつだった。私はリアルタイムで見たことはないが、URLは「http://homepage1.nifty.com/meimei/」だったらしい。それが、ニフティが@homepageというサービスを止めるので引っ越したという。新しいサイトは、こちら。ここの「このサイトについて」で、引っ越しについて受けたインタビューへのリンクもある。

meimei.la.coocan.jp

 

インタビュー記事は、こちら。

seniorguide.jp

 

 当時の個人サイトの一般的な構成として、階層は2段階。ほぼ鷺沢氏のサイトと同じ構成である。そして最後にはリンク集があり、個人サイト同士、相互リンクを張るのが慣習となっていた。ちなみに今、鷺沢氏の古いURLへのリンクを確認したら、現在でも90ドメイン・800ページを超える外部リンクがある。

 上記の週刊はてなブログの古賀さんも個人サイト当時から日記らしいものを書いていたというが、鷺沢氏など、それが好評で書籍にもなっている。ただ、それは、他の筆者との掛け合いもあり、読者を意識したものである。私は日記は書いた覚えはないが、何か、気まぐれで書いていたのは覚えている。当時のデータはHDDのクラッシュで消えてしまった(HDDのドライブ自体は未練がましく取ってある)。

 このころ、インターネット上で日記を書くのが、ちょっとしたブームになり、「日記作家」などという言葉も生まれた。ちょっと前に書いた、私を敵視しているプロブロガー氏は日記リンク集というものに参加しており、要は、日記同士、上に書いた相互リンクを張っているものである。そのメンバーの中で付いたり離れたりして、どんなセックスを何回やったなどと書いていて、私は嫌悪感しか覚えなかった。そのプロブロガー氏も、そこで最初の結婚をしていて、夫婦関係をアップしていた(今でも残っている)。

 そして、そうこうしているうちに1次ISPが現れPCメーカーが自社のPCをインターネットに繋げるためのISP事業を始める。Windowsのバージョンも95になり、Windows 3.1の時代のようにWinSockとTulipをインストールしなくても接続できるようになり、MovableTypeが登場し、各ISPがBlogサービスを提供するようになる。

 私も、このころBlogに移行するが、これまた、何を書いていたのか記憶にない。最初はSo-net ブログ(現在のSSブログ)で運用していて、個人のBlogというのも珍しく、ちょっとした人気Blogになっていた。毒家族に潰されたが書籍化の話もいただいたし、当時のアフィリエイトプログラムはAmazon アソシエイトくらいしかなかったのだが、毎月、1,000円以上は収入があった。

 

ここから、少し脱線します。
✄------------ 切り取り線 ------------✄

 

 何回か書いているが、そんな中、私は変な女に自宅の鍵を壊されて居座られ、さらに精神病が酷くなり、家族に拉致されて根岸病院というところに入院させられた。父が亡くなって遺品を整理していたら、どうやって手に入れたのか、元凶はあの変な女なので、それを追い出して強制入院させろというマンション自治会の内部文書が出てきた。(この辺で触れています。このエントリーを書いたころにあった親に作られた借金は返済して、ある程度生活は良くなっています。)

 これも同じことの繰り返しだが、入院を拒否したら医療保護入院に切り替えると言い、しぶしぶ任意入院にしたが、任意入院なのに法務省を含め外部への電話も手紙も禁じられた。職員も怠慢で、主治医に時間外の服薬を指示されたが、それを貰いに行ったら主治医からの指示がないので出せないと言われ、それを主治医に伝えたら、俺の言うことが聞けないのかと言う。

circumstances.hatenablog.com

 

 当時は、まだコンピューター技術が発達していなくて、大袈裟にいえばインターネットも、まるでツイストペアケーブルの上をパケットが走っていくのをみえるような環境だった。PCも、まだDOSプロトコルを足してWindowsを載っけてという時代だったので、そして、そこからSOSを発信して、私の親に圧力を掛けてくれるように書き込んだ。最後に見たとき、出版を持ちかけた編集者から、病院にいらっしゃるということで安心しました、お大事にというレスが付いていて焦ったが、詳しくは、こちらに譲る。

circumstances.hatenablog.com

 

 Blogの話から脱線したが、そのBlogも、ネットストーカーに炎上させられて今はない。エクスポートしようとしたが、1ヶ月たっても終わらない。仕方なく閉じた。そして、心臓が針の筵の上で転がされている思いをしたとき、ネットストーカーに身分を隠し当時の読者を装い、新たなBlogの開設を持ちかけられた。私は、まさかYahoo!JAPANのIDから身分を割られるとは思わず怖い思いをした。これも、詳しくは、この辺に。

circumstances.hatenablog.com

 

✄------------ 切り取り線 ------------✄

 

 話は再びWebでの公開日記について。冒頭の古賀さんも物を書く仕事に携わっておられるが、ジェーン・スーさんなど、この時代のネットから出た物書きというのは多く、私の中では、ものすごく惜しいことをした気分になっている。ちなみに私に喧嘩を売っているプロブロガー氏も日記作家からブロガーに転身し、私のBlogですらそうなのだから、私生活を明け透けに書いているBlogは人気Blogになったらしく、電子書籍を出したようだ。

 そうしたら、再婚し、世帯年収5,000万円などと謳い成功の絶対法則などというものを教える何十万円もするセミナーなどを始め、金は使えば使っただけ入ってくると教え、この辺は、以前、書いたように5ちゃんねるのスレを見ると妻にも愛想を尽かされ、世帯年収5,000万円を謳っていたのが今は借金1,400万円だそうだ。電子書籍を出したとき、Amazonのレビューにヒモって書かれていたものな。

 その、自称人気ブロガー氏のBlogは、現在、今日はゴミの日でした、今日は何を食べましたとか、暑かったので寝間着を薄くしましたなどということばかり書かれていて、5ちゃんねらーの推測によると、そんなことを書いても年収が5,000万円になれるという幻想で「見せ金ビジネス」に乗った人がいるのではないの? との話である。

 私の場合、日記帳に書いている文章は、そんなペラッペラなものではない。そして、天から降りてきたように筆が進む。申し訳ないが、このBlogを書くのは、この程度のものしか書けないのに辛んどい。

 ここで、上の方で取り上げた鷺沢萠氏の文章を引用する。

 文章を書くという行為は、相当にいやらしいものであると思う。少なくともわたしの場合、文章を書くという行為の中には、自己顕示欲やら自己陶酔やら自己満足やら、とにかく「己れ」という存在を強く強く意識することが内蔵されている。考えてみれば、自分の文章を他人に読んでもらうというのは、自分の思考や意識を積極的に表にさらけ出すということなのだから、もしかしたらこれは露出狂の変種なのかもしれない。

(中略)

 だから、他人の文章を読むという行為も、書く以上にいやらしい行為である。なぜならあなた、ポルト映画の女優さんと、ポルノ映画観に来るオヤジと、どっちがいやらしいと思いますか。

「読み手と書き手の間には」「町へ出よ、キスをしよう」所収

 いってみれば上のプロブロガー氏のようなものは自分のベット上のことまで書く(しかも妻公認の妾がいることまで書いちゃう)ストリッパーのようなものであり、読者も、有名人でさえ、そこまで深くは流れてこない他人の私生活を垣間見る週刊誌の読者のようなものである。

 今、自分の日記を読み直してみて、そんな他人に見せて恥ずかしいようなことは書いていないのだが、それを入力してある非公開のBlogを、そのまま、このBlogのように他人に見せるのは、ちょっと嫌だなと思う。しかし、真摯に書いたものは娯楽的にという意味でなくても面白いというのは癪なことではある。