身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

出会わない運命。

 運命の出会いというものがあるとすれば、出会わないのも、また運命であると思う。昨日、鷺沢萠氏に関するエントリーをアップしたら何か知らないがアクセス数が上がって、調べてみると今日が命日だという。完成度が低いエントリーが読まれるのは居心地が悪い。

 鷺沢氏は1968年生まれで2004年に35歳で没。私の4つ上。活動時期は私の病気が酷くなる前と、ほぼ重なる。沖縄の本部の桜を同日に見に行っていたことを後に知るが、知ったら知ったで、私たちの他に桜を見に来ていた一団がいたので、彼らかもなどと思う。

 東京にいるといろいろな人に会う。会っても気が付かない。先日も書いたが、いい家だなと思って見ていたら、そこが有名女優の家だったということもある。また、私のように白金などというところに住んでいるとTVで見る顔を実際に目にすることも多々ある。

 しかし向こうは私のことなど知らないわけで、不特定多数に自分の存在が知られているというのは嫌だろうなと思う。私は世事に疎いのでリアルタイムで鷺沢萠という人を知らなかった。ミーハーな私は、知っていたら沖縄で血眼になって鷺沢氏を探したかもしれない。

 高校のとき、国語教師が学生時代に卒論のテーマにした志賀直哉の奥様と電話で話したことを大変な思い出のように語っていたが、それは茨城の田舎の学校だから特別なことで、都市部に住んでいれば普通のことである。東京でなくても、水戸に住んだだけでも違ったはずだ。

 つまり、もし鉢合わせをしても、興味がない人間とは会っても気が付かないし、それも、また運命のような気がする。以前のストーカー被害もあるが、このBlogには興味を持ってもらいたいけど、瓜ヶ谷が私だというのは熱心な読者以外には知られたくない事実である。