身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

精神を病んで失ったもの。

 今日は通院だったが、さして変わりがないので「通院の記録。」は飛ばす。しかし、昨日のオープンカーといい、精神を病んで金を使わなかったら買えただろうなぁと思うものが沢山あるので、ちと考えてみた。

 まず、カメラ。ハッセルブラッドの限定品とツァイスの限定のレンズとジッツオの三脚を買ったが、ほとんど使ったことがない。使ったことがないのには理由があり、野外で、それを使っていると人が集まってきて写真を撮るどころではなかった。これが、車1台分ほど。

 限定ズミルックス付きライカM6は、置き引きに遭ったため、仕方なかろう。犯人が見付かったが、刑事課の警察官曰く、日雇いに近く、とても弁済できる金は持っていなさそうだという。交換レンズ等は、この前売ったら、たった20万円にしかならなかった。こんなに早くデジタルの時代が来るとは思わなかったので、ボディを残してレンズを先に売ってしまったのが仇になった。これで車1台ほど。

 それ以上に大きいのは、家に変な女に居座られたときのことだ。外出先から帰ったら、いきなり鍵が壊されていた。私が自殺しているのではないかと思ったと言う。夫と揉めているというので数日、置いてやったら、何か月も居座られた。靴下に生鮮食品をパックしてあったビニールが絡まっていても平気な女だった。掃除機を掛けようとすると文句を言われ、綺麗に暮らしていますねと言われていた私の部屋は半年で汚部屋になった。

 その女に、子供のときに買いたいものを買ってもらっていないのだからと色んなものを買わされた。数百万あった貯金はなくなり借金ができた。父が死んで、私が精神病院に入院させられ殺されそうになったときのマンションの自治会の内部資料が出てきたが、あの女が来たから私が狂った、あの女を追い出して強制入院させるべきと書いてあった。

 ちなみに、その女は、私が昔、入院したとき、何かしらの感情が湧くと注射を打たれて眠らされていたと言うと、それでも生き延びたことは凄いなどと言っていたのに、私が、その病院で殺されそうになっていると言うと、バカにしたような口調で、じゃぁあね~と言って一方的に電話を切った。

 また、その女の夫は、私は一生、立ち直れないと言ったそうである。早稲田の法学部を出たのが自慢なのだが、当時52歳にして勤めたこともなければ自分で金を稼いだことがないそうだ。親から毎月、何十万円という金を貰っていて、だから私に金を使わせて何とも思わないのだろうが、結構なご身分でと言われるが自覚がないと自ら平然と言ってのける。

 そして、毎日、近所の倉庫に物を盗りに行っては私にプレゼントと言って盗品を渡した。兄が最高裁の判事なので揉み消せるのだそうだ。そして、私が退院して、しばらくしてから、猫撫で声で妻に語り掛けるような電話を、これ見よがしに私に架けてきた。私の家に来て妻と口論をしては、私は、近所に迷惑と苦情を言われていたのに、その妻との諍いは、どこに行ったのだろうか。さらに、私のことを一生、立ち直れないといって呆れられたそうである。

 今年、その女の言うがままに買ったカメラの残りを売った。何台という単位ではなく40㎏になったことは、すでに書いたと思う。カメラだけではない。PCなども何百万円と買わされた。当時、私は国のIT技術者の講習を受けていて、家の中にサーバーを立てていたのだが(Windows NT Serverとか懐かしい…)それだけで天才だとかプロだとか異様にビビッて、しかし、例えば実際に動いているキーボードがありながら、ゲーミングキーボードを、一気に数台も買わされた。そんなもの要らないと言っても、後で転売すればいいと無理強いされた。

 その女は虚血性心疾患で余命宣告されていると言ったが、当時の主治医は、虚血性心疾患で余命宣告されるような病気はないから騙されていると言い、友人は、私はデート商法マルチ商法に引っ掛かかる人間ではないから何事があったのかと思ったそうである。そうそう、そんな女に生活を合わせていたために、体重が半年で倍増したのも既述かと思う。どうも、この女のことについて書くときも冷静におれない。

 元々、母に嫌がらせで入院費を私のカード払いにさせられたといえ、ゴールドカードの利用限度額を振り切ってリボでなくては払えなくなっていた。これが、金利を入れると高級外車1台分か。

 今、私は衣・食は生活保護受給者と、ほぼ同額で生活している。住居に関しては、持ち家なので、中級サラリーマン程度の生活になっている。そのため、仕事を辞めてから旅行に行けなくなった。その変な女に居座られる前は航空会社のマイルでアップグレードや無料航空券などを貰っていた。

 これは、金の問題とは少しズレるのだが、車の運転をしなくなった。もう、かれこれ30年ちかくか。最後に乗っていた(借り受けていた)車がティプトロニックというクラッチを制御しなくていいミッションだったので、友人の車を借りたらギアが繋げなくなっていてマズいなと思っていたら、もう、運転どころではなくなってしまった。車を発進させるとき、どこの安全確認をしていいのか判らないという有様だ。

 最初の買い物は、おそらく、放っておいても、しただろう。ただ、それらを、使わなくても持てば満足という状態にしたのは、その変な女だろう(今、放置しておいて壊れた部分を直すと、数十万円ほどかかる)。そして、一種の洗脳をして、さらに買い物をさせたこと。そして、心身ともに身動きが取れなくなったこと。現に、家が再開発に入っているのに引っ越す金がない。

 精神を病んで失ったものは、まずは、意志が強いと言われていた他人に左右されない健全な精神、そこに付け込まれて大量に買い物をさせられた金、そして、その女の不潔さに加えて物に溢れた家の清潔さ… 考えるとキリがない。