身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

他人の言葉から得る安心感。

 最初、このエントリーは"You must be tired."というタイトルにする予定だった。和訳としては「疲れてるんだよ」「お疲れですね」になるが、使われるシチュエーションというのが、日本と少し違うのだ。意味も少し違うのだが、それについては改めて。そういう言葉が聞けて安心したという話。

 今朝は普通の時間、ここでいう普通とは、会社や役所や学校に通う人々と同じ時間に目が覚めた。意外と頭もスッキリしている。しかし、昨日も再び寝てしまったり、それによって生活が夜型にズレていたりするのを問題視しているので、お世話になっている前任の保健師さんに電話をした。

 これは主治医に言われた事でもあるが、やはり何かしら外出したりする予定を作ると良いと言われた。私は昔から風呂には夜に入っていたので、今は湯舟を使わなくなったがシャワーは夜に浴びている。しかし、昨晩は、身体が気持ちが悪いと思ったが、朝、気分転換に浴びようと思いシャワーを浴びずに寝た。

 そして、朝、起きたものの、再び気絶するように寝てしまって、恐怖で目が覚めること2回。起き上がったのは午後3時近く。けっきょく今日はシャワーを浴びるどころか着換えさえもしなかった。そして、起き切っていない頭で反射的に再び前述の保健師さんに電話。研修で1日いないという。ネットで検索すると区だけではなく都の仕事もしているようで、お忙しい中、本当に申し訳ないと思う。

 私は“恐怖政治”の中で育ったせいか、他人が出すオーラを敏感に感じ取る。そして、機嫌を損ねるのを怖れる。なので、その保健師さんに電話をしたことろで、冷たい口調だと、少しドキッとする。保健所に顔を出したら(越権行為を承知で私の面倒を見て来れているのに思慮が浅い行動で迷惑を掛けてしまった)バリバリの管理職で、やっとビジネスモードなのだと理解できた。

 その保健師さんが塞がっていて、今度は主治医に電話。あまり解決にならなかった。もともと言語表現が下手な人だが、彼の口からは掛けて欲しい言葉が出て来なかった。医師は薬を出すだけとか高級薬剤師という人がいるが、当たらずしも遠からずかもしれない。電話をして、少し後悔した。

 ここで、ふと、鷺沢萠『この惑星のうえを歩こう』に収録されている「ウェールズの王子」という短編(コラム)を思い出した。すぐに作品名が出てくるのは、今、その作家の本を読み込んでいるからである。読み込むといっても、このBlogの過去ログを見ると先週の木曜日から同じ本を読み終わっていないのだが。

 そのコラムが書かれたのはインターネット黎明期で、ひとりひとりホームページを持ちましょうという時代だった。これも私流の主観が入った要約だが、なぜイングランドの王子に「ウェールズ」という他の国の名前が付いているのかということを、本場イギリスで訊いても判らなかったのに、ホームページにアップしたら読者が教えてくれたとのことだ。

 ネットというのはまったく凄いものだな、ということは自分のホームページを立ちあげた二年あまり前からしばしば感じていたことだが、先日またもや「うーむ。ネットってスバラシイ」と思わせられるような出来事があった。

 今はホームページを持ちましょうという時代ではなくなったが、SNSというのは凄いものだなというのは私も感じている。Twitterのアカウントを非公開から公開にしただけで、私が読んで欲しいものを読んでくれる読者が増えた。

 その、増えた読者のほとんどがアカウントを非公開にしているので、ストーカーに付きまとわれた経験から、ちと怖いところがあるが、そんな中で知り合えた読者のひとりが、昨日の、駄目な自分に落ち込んでいる私に対してnoteにメッセージを書いてくれた。

 かつて、鷺沢萠氏が手本にしているという村松友視氏は、以前、このBlogで取り上げた『作家装い』の中で、「自分を作家として認める読者をもっているのが作家だとすれば、その読者はひとりでも当てはまるのか」などと書いている。

 昨日は、予想どおり、読む人がガタンと減ったのだけど(書き応えがあるときは、やっぱり増える)、それでも見捨てないでくれている人が1人でもいる限り、書き続けたいと思う。やっぱり、言葉に自信が持てなかったとき、どれだけ、他人の言葉に助けられているか、サギサワ流にいうと「スゲェ」と思う。

 

 

P.S. その先週の木曜日から読んでいる『ウェルカム・ホーム!』(面白いので文末に紹介を貼っておきます)に、札束は両手で持てて2,400万円とある。100万円の束って、どれくらいの大きさだったろうと思い、ふと手元に残っている札の帯封を見てみた。

 そして昨日も書いた変な女との関りで、ゴミに化けた金を考えてしまった。失ったものを数えたり、他人のせいにするのは生産的ではないと判ってはいるんだけどね…。

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ウェルカム・ホーム! (新潮文庫)

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