身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

時代のニーズ。

 異様な眠さで机に向かうのがやっとである。そのくせ、寝たくて仕方がないのに横になっても眠れない。そしてまた、観なければならないTVドラマが溜まっている。

 そんな中、15分なので何とか観られているのがNHK朝の連続テレビ小説「エール」。

 周囲では不思議と戦争に対する描写の評価が高いが、私は、さほどの表現とは思わないし、本題は、戦争そのものよりも戦時下の主人公の心の動きだろう。

 正確な表現は忘れたが、主人公は求められたものを書くだけだというようなことを言う。敗戦後、結果、それが戦争に加担することになったと自責の念で書けなくなる。

 製作者が訴えたいのは戦争の悲惨さではなく主人公の感情だろう。そして、主人公は、様々な人に、それを否定される。

 何度も書いているが、それを受け取る人がいなければ表現ではない。ニーズがあれば作品を作らなければならないのがクリエーターというものだろう。

 時代のニーズという言葉があるが、それが否定されたら、例えばマキシ丈のスカートが流行ったときにミニスカートを流行らせたというのも問題になりかねない。