身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

カメラの容姿と女性。

 昨日は、あんな下らないエントリーが妙に好評で恐縮している。描き切った達成感がある文章が評価されたのなら良し! と思うのだが、そうでないので、どう評価されたのか理解できずに当惑している。

 以前のBlogでは、はてなブログの記事ピックアップで少しづつ読者が増えていった。今回、そういった ふるいに掛けられたわけでもないのに、Twitterの友達を通じてというのは、どう捉えていいのか判らない。

 今日こそ期待に沿って良いものを書かなければと思うと緊張するので、例によって、どうでもいい話を書くことにする。またカメラの話だ。カメラ好きが昂じて光学メーカーに転職したくらいだから、カメラという道具の愛好者が増えて嬉しい。

 さて、そうして家の中を見ると、眠っているカメラというのが少なからずある。ちょっと変な奴にそそのかされて大量にカメラを買った時期があったが、それは一昨年、何台ではなく40㎏処分した。

 手元に残っているのは気に入ったカメラばかりなのだが、ほとんどが、大切すぎて使えないか壊れていて使えないかである。そもそもフィルムと現像料が高いので、今はもっぱらデジタルである。愛着があるカメラほど頻繁に使うのだから壊れやすい。

 取り合えず壊れたカメラを何とかしようと思って2台ほど修理に出した。当然、フィルムのカメラだからメーカーの修理期限はとうに終わっていて、ペンタックスは埼玉県小川町の、ニコンは品川区大井の、それぞれ修理専門店へと出掛けて行った。

 私が、これらのカメラが気に入っているところは、ちゃんとセットのカメラケースがあることだ。ガシガシ使っていながら、こういうことを書くのは変だが、大切なカメラというのは傷を付けたくないものである。

 さすがに、これらの時代のものは革ではなくビニールだが(私が持っているものでもCONTAX T2などは趣味性が高いので革だ)きちんとカメラ本体の金型から作ったカメラケースがある。中古カメラでも"w/C (with case)"と表示されて売られていた。

 35㎜版は、この程度だが、実は、ハッセルブラッドを持っている。しかも503CWのカラーモデルだ。ちなみにカラーモデルというのは後から皮を張り替えたのではなく、メーカーが用意したモデルである。(今見ると、意外と安い。)

Hasselblad 503CW Colored

 

 ブローニー版のカメラは職具という位置づけなのか、なかなかメーカーが用意したカメラケースがない。しかしカメラもファッションだと思っているので、いかにも鉄の塊ですというカメラを持って歩くのは気が引ける。

 そこで買ったのが、このカラーモデルなのだが、予想していない弊害があった。このカメラと同時にジッツオの10万円以上する三脚も買ったのだが、東京で三脚を立ててカメラをセットすると、人が寄ってきて写真を撮るどころではないのである。

Hasselblad 503CW Colored with Macro Planner 120mm and ZITZO Tripod

撮影データ
日時:2015年09月24日・11時00分
ボディ:PENTAX K-5
レンズ:smc PENTAX-DA 18-135mm F3.5-5.6ED AL[IF] DC WR の35mm域
絞り:f6.3
シャッタースピード:1/160s
感度:ISO 800
(Program AE)

 

 

 ハッセルブラッドのミラーは自動復元(クイックリターン)ではなく、一眼レフとは思えないほどブレない。プロに80㎜だったら1/15sで止まるよと言われ、えっと思ったのだが、本当だった。結局、都内ではコソコソと持ち歩いて手持ちで撮り、三脚を立てるのは旅行先ばかりになってしまった。まるでカメラと不倫旅行だ。

 このハッセルブラッドは、さらにジッツオではなく、さらに実はが付く。そう、これも壊れているのだ。これほど大切にしたカメラにも関わらずである。

 それから精神を病んで、全く記憶がない時間が10年以上たった。その間、トランクに詰めて部屋の片隅に放り出してあったのだが、この前、久しぶりに開けてみたら、中のゴムは液化して、レンズシャッター機なのでフィルムバックを取り換えるときのための遮光板などがあるのだが、モルトが貼ってあるのか劣化していて、外装しか原形を留めていない。

 先日、ヤフオク! で、同じモデルの新品同様のものが80万円で落札されていた。それを見て燃えたね。直してやると。かくして、ハッセルブラッドを直すため、目下、選りすぐって残してあるカメラを、さらにドナドナしようとしている。

 昔、ハッセルブラッド神話というものがあって、他のカメラは壊れればカメラがヤワだったと言い切れるが、ハッセルブラッドは壊した方が悪いと言われた。それゆえにカメラの女王とも呼ばれていた。もし私が王様だったら、王失格である。

 そして再び私のハッセルブラッドを見ると、やっぱり女性だなと思う。華やかな色のそれは、まるで女優か何かである。旅先でコソコソ会わなければならないように、容姿が派手だと困ったものである。ライカの赤マークを黒く塗りつぶしている人の気持ちが、なんとなく判る。