身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

思い出のOLYMPUS PEN。

 あらかじめ断っておくが、このエントリーで使われている写真は被写界深度が浅くて構図もなっていないが、手持ちで、ざっと撮っただけなのでご容赦いただきたい。本文もダラダラ行きます。

 カメラの話ばかりしているせいか、このBlogの読者には写真を撮っている人、しかも、流行りなのかフィルムで撮っている人が多い。そして私の手元には、今、数台のフィルムのカメラがある。最も使うNikon New FM2は、モータードライブで巻き上げたらギアが噛んでしまい修理に出ている。

 その次に使うPENTAX MZ-3も修理に出していたのだが、先日、修理から帰って来た。輸送を含めて3日という、恐ろしい納期である。巻き上げモーターの交換となり、工場から予算オーバーの連絡を貰ったが、思ったほど掛からないので進めてもらった。ちなみにモルトの張り替えなどを含めて税込み19,800円だった。

PENTAX MZ-3 and K-3

左がMZ-3、右が、今メインで使っているK-3

 

 私が初めて買ったカメラ一眼レフは、このMZ-3のBLACK LIMITEDだった。しかし、使うのがもったいなくて買いなおした。買いなおしたこれは前ユーザーが酷使しため、実際はレンズ価格で壊れたボディーが付いてくるというものだったが、外観が綺麗なので直そうと思った次第。

 そのレンズで手持ちのMZ-3を使い、喫茶店の室内から待ち合わせをしている女性を撮ったもの。あまりレンズの味とかは判らない方だがボケが煩い。しかし久しぶりにフィルムで撮ったら、なんか楽しくなってしまった。私はフィルムに対してケチで、旅行に行っても1本、撮らない。このフィルムもカメラから出すのに2週間かかった。

taken by PENTAX MZ-3 with FA 43mm F1.9 Limited Lens

PENTAX MZ-3とFA 43mm F1.9 Limitedで撮った写真



撮影データ
日時:2020年01月19日
ボディ:PENTAX MZ-3
レンズ:smc PENTAX-FA 43mm F1.9 Limited
絞り:f2.8
シャッタースピード:1/30s
SUPERIA PREMIUM 400

 

 

 さて、私が生まれて初めて使ったカメラは父のNicca Type-5だ。いわゆるコピーライカという奴で、その中でも高い部類に入る。レンズは標準のニッコールではなく、父がキャノンの35㎜に付け替えていたのだが、これが恐ろしく良く写るレンズだった。

 初めて自分が所有したカメラはOLYMPUS PEN EEだ。ちょうどカメラグランプリが始まったころで、友人もこぞ ってカメラを買っていたが、私の親が子供の趣味などを大切にするはずがない。

 そして独りよがりの母に、あるとき、国鉄の忘れ物市に連れていかれた。そして、買ってもらったというより有無を言わさず押し付けられたのがPEN EEである。キャップも付いておらず、アタリもあったのに3,000円もした。しかし、母親は、ここで買えば安いだろうと思い込んでいる。

 このカメラは大活躍したが、セレンでできた露出計が、すぐに駄目になる。2回くらい直したが、結局はシャッタースピード1/30s固定のマニュアルのカメラになった。レンズ交換もできないカメラだが、そんな私の青春時代とともにあったカメラだった。

 やがて大人になり、色々なカメラを手にしてきたが、ふと、先日、ネットオークションを見たらOLYMPUS PEN Sが出ていた。これならPEN EEと違い壊れる露出計がない。1,000円で稼働品と書いてある。外観は非常に綺麗だし、レンズキャップに紐が付けられていて、前のオーナーは大切にした気配がある。

 この前、ジャンクという言葉を知らず動かないとクレームを入れる人が話題になったが、稼働品というのは一通りの動作は確認したが現状渡しという意味である。外観が綺麗なので、最悪、飾っておくとして、正常に動いてくくれれば儲けものと思い、2,000円で入札したら落としてしまった。

OLYMPUS PEN EE & PEN S with Voigtländer VC Meter

上が壊れて捨て置かれていた私のPEN EE、下が今回買ったPEN S、左下が簡易露出計・Voigtländer VC Meter

 

 そして今朝、それが来た。感覚ではシャッターは正確に切れているようだ。シャッターが静かすぎて切れているのかも判らない。しかも逆にブレそうなぐらい軽い。ただシャッターボタンに連動しては切れていることは確かだ。

 外観も綺麗な訳である。ストラップがボディーに当たるところに当て革もしてある。キャップにも落下防止の紐が付けてある(ちゃんと距離が測れるよう最短撮影距離の長さになっている)。売っていたのは古物商だが、写真機商ではないので、ひょっとしたらワンオーナーかもしれない。

OLYMPUS PEN S with Leather Attached

PEN Sの当て革


 また、ガタがあるがファインダーのパララックス補正マーク付きのブライトフレームが明るい。素通しの等倍ファインダーではなくレンズが入っている。このファインダーだけでも覗いていて楽しい。

 最高速が1/250sしかないので夏の野外はキツいが、6枚羽根の絞りはf22まである。今回、手元にあるISO/ASA 400のフィルムを入れたので、屋外では、ほぼ撮れない。屋内専用として、普通の室内からピーカン照りまではメーターを使わなくても何とかなるのだが、暗い室内だと、だいたい普段より何段暗い… と勘で決めるしかない。

 まさかスタジオ露出計を持っていくわけにいかないので、Voigtländer VC Meterを持ち出す。このVC Meter、どうもⅠはバルナックライカと、ⅡはM型ライカとマッチするデザインになっているようだ。ISO感度のところにクリックがないのが痛い。

 幸い、今はフィルムをスキャンしてもらうのでプリント代がかからないからバンバン撮れる。ハーフサイズ向きである。1枚1枚、撮るのにを恐々としていた私には、フィルムを大量に使えるというのはデジタル時代の産物で未知の領域だ。

 今回、PEN Sを手にして、そんな、初めて自分のカメラを持った時のようにワクワクしている。まぁ、スマートフォンもあるから、このフィルムを撮り終わるまで、このカメラしか持たないで出てみようか。撮った写真は、随時アップしていきたいと思う。