身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

葵丸進に行った。

 薬が残って午後3時まで起きられない。亀戸の住宅供給公社に叔父の家の退去手続きをしに行かなければならず、こちらは時間があるので行きは電車で行った。てっきり半蔵門線が通っていると思って大手町駅に出たのだが、通っているのは隣の錦糸町駅で、新御茶ノ水駅から御茶ノ水駅に乗り換えた。

 帰りは、無料乗車証がある都営交通で帰る。都営新宿線の駅に出ようと思うが間違えて運転手さんに都営浅草線に乗り換えると言ってしまい、本所吾妻橋を案内される。都営浅草線駒形駅まで歩いて2・3分といったところか。すぐにピンとくるのは流石である。

 蔵前駅の敷地は橋の下にあり、出入り口は、本当に橋の袂だ。どうせ浅草だから飲食店はあるだろうと思ったら、前川並の高い鰻屋ばかり。飯田屋が異常に安く思える。ご飯ものが食べたいので、とりあえず雷門まで歩いてガストに行く。葵丸進の数軒先で、何が楽しくてファミレスに行かねばならないと思った。しかし天婦羅屋も増えていて、そして安くないので驚いた。

 実際、行ったらファミレスの分際で一番安いメニューでも定食にすると1,000円を超える。馬鹿らしくなって葵丸進に取って返した。天丼が夜でも2,000円という驚きの値段である(メニューの写真は撮ってこなかったが、天丼でも、もっと安いものもあった)。あぁ、亀戸でてんやに入らなくて良かった…。

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 人心地つき、酒を止めているので飲まなかったが(しばらく飲まないと、飲みたいという気持ちより、飲んで気分が悪くなったらというのを危惧するようになった)、普通に定食が出てくるのを待つ。そして出てきたのは野菜天ぷら定食・税別1,600円。スマートフォンのカメラだし上手く撮れなかったが、これで結構、おなかが一杯になる。

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 コロナで客が減っているせいか、海老が1本サービスで付いた。そういえば1階には客がいないな… と思っていたら、観光客と思しき女の子2人連れが1組。味について話しながら静かに食事をしていて、やっぱり東京の老舗には、こういう人たちが似合うなと思う。酒のみのオヤジの方が似合うという話もあるが。そんなことを考えてボーッとしていたら、いい時間。雷門にも明かりが灯っている。そして今は、このBlogの更新時間まで10分である。

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 東京には、もう1軒、好きな天婦羅屋があって(というか、葵丸進は母が常連だったから行っているようなものであるが)、新宿のつな八である。こちらは編集者時代、会社の近所に支店があり、給料が入ると先輩と一緒に行った。新宿の伊勢丹の裏に本店があり、つな八と船橋屋が並んでいて、どちらが好みか別れる。

 NHKアニメ「英国一家、日本を食べる」は原題が"Sushi and Beyond"といい、主に外国人向けの番組であるが、番組中ではてんやを推薦している。ファストフードと同じ値段で揚げたての天婦羅が食べられるというのは、なかなかのものである。ちなみに伊藤忠水産物を輸入しようとしたとき、加工品なら関税が安くなるので天婦羅に加工して輸入したのが始まりだ。

 天婦羅を食べると、今度はトンカツが食べたくなる。友人と東京で一番おいしいトンカツ屋はどこだという話をしているが、私としては、目黒のあそこかなという気がする。こちらは本当に、オヤジが独りで昼から静かに日本酒を飲んでいる店である。なんか昔の雑誌ライターの時代のように、グルメ物も書いてもいいかもしれない。最後に、葵丸進の公式サイトです。

www.aoi-marushin.co.jp