身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

30年後の「チャーミーグリーン」。

彼らの流儀 (新潮文庫)

 

 朝、起きるのが辛い。起きてもダルい。本を読むどころかTVドラマを観るのも難儀する。寝不足が溜まってるな… と思って訪問看護師に話すと、どうも純粋に体力が落ちているだけのようだ。事務も捗らず、今は午後8時半、この内容で午後9時まで書き上げる自信はない。アップが遅れたら、あらかじめ申し訳ない。

 

 さて、私は1970年代生まれの「深夜特急」世代である。沢木耕太郎氏の筆が冴えていたころで、恐るべき数のエッセーやコラムが発表され続けていた。このエッセー集(厳密には初出の新聞連載)「彼らの流儀」も、そんな中で読んだ1冊である。

 ただ、当時の沢木氏は、どんなに他人に勧められようが「作家」を名乗ることはなかった。その辺の沢木氏の心境は、この連載が終わったときの記事から汲み取ることができるかもしれない(済みません、締め切りが押していて、ちゃんと読んでいません)。初出は朝日新聞

f:id:urigayatsu:20200417200511j:plain

 

 このエッセー集の中に「緑のカップル」という1編がある。なぜか私はタイトルを「チャーミーグリーンの生活」だと思っていて、探し出すのに難儀した。

 当時、食器用洗剤「チャーミーグリーン」はカップルを主人公にしたTVCMのシリーズを放映していて、そこそこの好評を得ていたというか、社会現象になるのではないかという勢いだった。


CM「チャーミーグリーンを使うと手をつなぎたくなる」Vol.1

 

 「緑のカップル」は、上のYouTube映像にある、第1作の中村夫妻の7年後を追った作品である。ちなみに、CMに描かれている像を文章にすると、こうなっている。

 台所用洗剤「チャーミーグリーン」のテレビ・コマーシャルの世界。それは、明るい陽光のもと、清潔そうな住宅街や洒落た商店街を、若いカップルが買い物袋などを抱えてスキップをしている、というものだ。東京なら、さしずめ新玉川線の沿線の瀟洒な一軒家に住み、ドイツ製の自家用車を乗りまわし、休日にはそろって二人で買い物をする、というような夫婦の姿が想像される。

 新玉川線田園都市線)の沿線といえば、この像は、洋菓子を買いに1回しか行ったことがないので不確かだが、今でもさしずめ二子玉川あたりに当てはまるのではないだろうか。(この路線自体、田園都市線という名前になってから、三軒茶屋に行った1回しか乗ったことがないかもしれない)。

 寓居の近所で再開発があり、タワーマンションが建ち、周りが整備された。整備されたといっても、その前に建っていたマンションのテナントが小綺麗になり、スターバックスコーヒーとクイーンズ伊勢丹が入っただけである。

 そこに、毎週日曜日になると、メルセデス・ベンツのCクラスやEクラスではないドイツ車に乗り、良く知らない舶来種の小さな犬を連れてやってきて、スタバのテラス席で犬をはべらす人たちがいた。今でも彼らの「私たちってセレブよねぇ」という言葉とネットで子馬鹿にされていた様子を覚えている。

 そんな「『チャーミーグリーン』のカップルの七年目の実像」を読んで、私は少し、ホッとしている。いつの時代も、人が憧れる生活に変わりがないな… そんな感想を抱いた。

 これも時間がなくて原典を探せないのだが、角田光代さんあたりの小説で、家族に物入りか何かがあり、地方出身のコンプレックスの塊のような夫に1つだけ贅沢を許したらアウディを買ったというものがあった。BMWの真っ赤なコンバーチブルが欲しいと言っている私も似たようなものです。

 えーと、そこまでは書くことを覚えていたのだが、このBlogエントリーを、どういう話にしようか私が見失った。単に、庶民が憧れる幸せな生活は普遍的であるという話ではなかったはずなのだが、はて。ブルジョア気取りの人は多くても、本当のブルジョアというのは少ないのかもしれないという話から発展させて、何か書こうと思っていたのだけど。

 

 時間は間に合ったけど内容が滅茶苦茶で申し訳ありません。