身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

優しさは暖かい。

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 ただいま帰宅。また書き始めたのは午後8時50分過ぎになってしまった。高輪のマンションオーナーの友人宅へ。その友人は家の臭いを気にしていたが、私の実家と同じ匂いがした。これは東京の山の手の家の匂いなのかもしれない。

 帰りには上がっていたが、行きは土砂降りだった。東京は朝、雨が降っていて、それが止んだので私は傘を持たずに家を出た。着替えも追いついていなくて、コートどころかセーターも着ていない。ジャケットもサマージャケットだ。

 バス停ではバスが来ない。ダイヤより10分遅れても来ない。寒いうえに雨が降ってきた。そんな中、プアゾンを1瓶浴びたような臭いをさせる水商売風の女に割り込まれて嫌に気分になった。

 そしたら、ふと、70歳くらいの女性2人が、それぞれ、前後の人に傘を差し伸べてくれて、私は、そこに入った。私を傘に入れてくれた方でない女性は、中学生の女の子を傘に入れていた。

 最初、その女の子はバスを待ちながら一生懸命、受験勉強をしていたので、気を使わせているみたいで悪いなと思っていたのだが、積極的に私に話し掛けて来てくれて、本当に会話を楽しんでいるようだった。

 私も寒さを感じなくなり、本当に人の優しさが気持ちだけでなく気候の感じ方さえも暖かくすることがあるのだなと思った。バスは30分遅れでやってきた。