身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

10年ひと昔(映画「ハッピーフライト」を観て)。

 

 数日前、CATVで放送されていたものが録画してあり、今日、観た。2008年の公開だが、観るのは初めてだ。綾瀬はるかさん主演でタイトルが「ハッピーフライト」というので、どうせ三文コメディーだろうと思って敬遠していたのだが、単なるドタバタではなくて驚いた。最後に、企画・石原隆とあって納得(インターネット黎明期に「企画・石原隆を楽しむページ」という個人サイトがありましたね)。

 離陸前の羽田空港での飛行機の整備シーンから始まり、これはアーサー・ヘイリーの「大空港」のような壮大な飛行場ロマンが始まるのか、あるいは整備士が工具を飛行機の中に置き忘れて大事故に繋がるのかとドキドキするが、どちらでもない。そしてホッと気が緩んだところでホノルルに向かった飛行機が羽田に折り返すことになる。

 これも、前半は頼りない主人公の副操縦士が、その危機感とともに凛々しく豹変? していくところも見どころ。このエピソードは、少し私の体験と重なるところがある。私の場合は那覇から羽田に向かう飛行機で、羽田着を諦めて成田着になりそうになった。映画と同様、機長からアナウンスがあったのだが、日本語と英語がチャンポンで話していることが8割ていどしか判らず、当時は翻訳家だった西森マリーさんに解釈が正しいか訊いたことがある。

 その体験が重なるくらいだから、言っていることの半分も判らないという人がいるかもしれないし、そうなると、つまらないのかもしれない。しかし、それらの用語が飛び出すほどの緊迫した状況がありながらもハッピーエンディング。フランク・シナトラの「カム・フライ・ウィズ・ミー」が流れたときには、イエス・アイ・ドゥー! と答えたくなる。

 10年前の作品。当時のコンピューター環境の懐かしさとともに、私にとっての一番の驚きは、時任三郎さんや岸部一徳さんが若いこと。2人とも今年に入って「監察医 朝顔」と「Heaven? 〜ご苦楽レストラン〜」という民放の連続TVドラマに出演なさっているので、それとの比較で観てしまう。綾瀬はるかさんを始めとした女優陣は、さほど今と変わりがないので、男性が老けるのが早いことに、同じ男性としてショックを受けた。