身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

オーバードーズ。

 私は、オーバードーズリストカットをしたことがない。爪を噛んだりするのが自傷行為だといわれれば、そうかもしれないが、少なくとも、それも、今はない。

 昨日、母にしばらく行けない旨や、すでに税金の延滞金が発生しているために税理士を使うことを告げた。

 そうしたら、そんなことをしたら税金を払わなければいけなくなる、税金の督促など放っておけばいいのだと支払いを拒まれた。

 国に納める金といえば国民年金があるが、私が成人したとき、親は国民年金の加入手続きも学生控除の手続きも取っておらず、会社に入って激怒された。

 加入通知書が来ただろうと言われたが、親は、私の郵便物をすべて隠した。今になると、親が郵便物を隠すのは、このときからあったのだなと思う。

 そして、成人式の手紙といえば、成人式の案内状である。心待ちにしていたが来なかった(と思っていた)。

 成人式が行われていた日も、私は、自分の部屋に監禁されていた。しかし、母は、平気で、いい成人式だったんですってなどと言う。

 つるむのは不良がやることだといって、私は、友達付き合いを禁止され、今年になってSNSで繋がるまで、同窓会が開かれていたことも知らなかった。

 服毒自殺(当時は死ねる精神薬が沢山あった、外科医に3人分の致死量と言われた)を図り、私のことなどオモチャとしか思っていない親なので、1ヶ月、発見されず、そこまでは良かったのだが、意識が戻ってしまった。

 ずっと横になっていたので皮膚が壊死し、全身麻酔での植皮手術になった。そのときも家族は時間までに立ち合いに来ず、医者は立腹した。母は、五体満足に生んでやったのにカタワになったと私を詰った。

 かつて、親は私が会社に行っている留守に家に上がり込み部屋を荒らしていった。仕事が続かないと言われるが、そんなことをされれば仕事になどならない。

 歯を食いしばって来たが、親から鍵を取り上げ、やっと私は安心を得ることができた。しかし、今回、これだけのことが重なると、さすがに、人生を投げ出したい。

 今日、初めてオーバードーズする人の気持ちというのが判ったが、それでは済まないだろう。