身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

成人の日は嫌いだ。

 地方によっては今日、成人式をやっているらしい。先日書いた、バイクのツーリングなどを楽しんでいる友人の娘さんが成人式の日で、娘さんよりも友人がはしゃいでいる。今日も着付けをした娘さんを会場まで送り届けるとかで、軽トラックで申し訳ないなどと書いている。

 娘さんも娘さんで、何か成人の日のお礼、みたいなことをしたらしい。18歳になったら免許を取りに行かせてもらって、高校を卒業したら車(軽自動車)を買ってもらって、それは親孝行もしたくなるだろう。

 私は専門学校に就職のためと言われて車の免許は自腹で取った。親には車の運転などする仕事は許さないと言われた。免許を取っても家の車には指1本触れさせてもらえなかった。他の資格、例えばTOEICさえ、就職してから受けさせてもらえと言われた。

 私は高校を辞めているので成人式で同級生に会えるのが楽しみだった。しかし、待てど暮らせど招待状が来ない。招待状が来なくても行こうと思い監禁されている部屋を出ようと思ったら、親に殴る蹴るされて行くことは叶わなかった。

 そのくせ、後日、親は私に、みんな揃って、いい成人式だったんですってよなどと言う。自分が何をしたのか覚えていないのか。こういう芋づるのトリガーとなる成人の日が嫌いだ。