身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

自分に絶望して生きる気力がなくなる。

 今日は銀行に相続の手続きに行った。都市銀行1行目。午前10時の予約を取ったのだが、午前9時まで起きられない。サラリーマン時代に出勤ギリギリまで寝ていて慌てて着替えて会社に行った時のように家を出る。

 しかし、銀行で、書かなければならない書類を目の前にして、記入例を見ても、どこに何を書いていいのか判らなくなる始末。書類に「住所」と書いてあるのに、どこに住所を書いていいのかも判らない。自分の名前すら書き間違える。銀行員の方に指摘され、何度も書き直しになる。

 そして、私も事務系専門職として銀行の事務レベルの人と遣り取りをしていたので、銀行員を見て、私は、昔は、こんなことを普通にしていたのだなと思う。今は、まったくできない。そう思うと居ても立ってもいられなくなった。何もできない自分。そんな自分に絶望した。

  物を書こうと思っても書けない、かといって、力仕事も、時給1,000円の単純労働もできない。社会にとって不要な存在なだけではなく、自分にとっても、やりがいなどというものがない。自分が生きていることが嫌だ。苦痛でしかない。

 実印を押した書類を失くしたと思ってパニックになって部屋中探し、午前中に行った銀行に忘れてきたのかと思って電話をしてもなかった。慌てて用紙を取り寄せるが、それらの連絡をしてから出てきた。もう、何もかも嫌だ。