身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

思い通りに行かない。

 社会人として仕方がないことであるが、周囲との日程の調整が付かない。今朝も午後まで寝ている母を置いて、イートインスペースのあるコンビニに行った。そこで市役所の人からの連絡を受けたら、あと20分後に行くと言う。私も外出中だし日を改めてと言うと、次は、相手は、次は、いつ時間が取れるか判らないと言う。

 せっかくゆっくりできると思ったのに、買ったパンも食べず、コーヒーも文字通り1口も飲まず、抱えて実家に帰る。そして市の職員の人と話す。そもそも顔合わせのみという話だったが、私の生活もあるので、それも含めて、おいおい詰めていきましょう、そのために密に連絡を取りましょうという約束だけして、具体的な話は追ってということになった。

 じっとしてはいられず、コピーを取りに行ったり、スーパーマーケットをウロウロしたりした。母が午後まで寝ているのでゴミを出そうと思うが、出す日も出し方も判らない。NTTのセールスの人に押しきられたとかいって、TVと電話がインターネット経由(Bフレッツ)になっていて、そのルーターがあるので中継用にホテル用のポケットルーターを買った。しかし、Bフレッツのルーター自体が変なのか、ルーターは認識するのだがインターネット接続がないと表示される。

 そうこうしているうちに、やっと母が起きてきて、私が外で食事を摂ったと聞くと、こちらは倹(つま)しい生活をしていると怒る。こちらは、あなたが寝ている間に市の職員の対応までしているんだよ…。専門職だったサラリーマン時代が懐かしい。コピー取りなどの自分の専門以外の仕事をすると、庶務の人にやらせろと言われたものだ。世間はノーベル賞の話で持ちきりだが、研究職ではない私ですら、プロの仕事をしていたので、それだけやっていればよかった時代が本当に懐かしい。