身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

私には友達がいない。

 昨日・一昨日と酒に逃げていた。しかし昨日のエントリーは酷い。段落すらない。そして、昨日の朝は、そんなことはなかったのだが、習慣になり始めているのか、今朝は飲みたくて仕方がなかった。役所が開くと同時に区の色々な職員に電話をして、カクカクシカジカですが、今日から飲まないと決意しました! と宣言をした。

 以前も書いたが、私の叔父は、ならず者である。私の実家に入り浸っては朝から酒を飲み、酔った勢いで雨の中を傘を差さずに総菜などを1万円も買ってくるそうである。“そうである”と伝聞なのは、私が実家にいないときも入り浸っていて、それを母が話すからだ。それでも母は、叔父さんは倹しい生活をしている、それに比べてお前は浪費をすると詰る。ちなみに1万円は私の1週間の生活費と同じ額だ。彼は月に3万円で生活しているというのだが、寝間着の中に3万円、忘れていったそうである。母は自分で言っていて矛盾に気付かない。

 叔父は、私が実家にいるときでさえ居間の絨毯の上で素っ裸になって放尿し、母が何回、着替えさせても、それを繰り返す。私は、今日の早朝、目が覚めて、そうでなくても酒を飲んだ翌日でブルーなのに、さらに落ち込んだ。酒を飲んで現実逃避をしようなど、叔父がしていることと変わりないではないか… 。今日、私はバスで新宿へ行ってきたのだが、新宿駅西口の地下広場から地上のバス停まで階段を上ろうとしただけで腿に負担を感じ、寝転んで酒ばかり飲んでいるので歩行困難になっている叔父に自分を重ねて嫌な気分になった。

 子供のときから、親に遊ぶのを禁じられていたので、正直いって、楽しい遊びというものが判らない。そして、私には兄弟姉妹がいない。さらに相談する友達がいない。酒を飲む以外の方策が見付からないのだ。子供のとき、友達ができそうになると、あの子は集団でつるんだりするからなどといって友達付き合いをさせてもらえなかった。母のいう“つるむ集団”つまり遊びの輪に入ったことがない。

 私はファミコン世代なのだが、ゲーム機を買ってもらえなかったばかりか、友達の家に行くのも制限されていたので、いまだにコントローラーの使い方が判らない。また、世代的にガンダムなどが流行った世代なのだが、へんし~んなんてのも、何が面白いのか判らない。午後9時から始まる「ニュースステーション」さえ観せてもらえなかったので歌謡番組なんて、とてもとても。同世代のアイドルに誰がいるのか知らない。

 ずっと自室に監禁され、TVも音楽も小説さえ禁じられていた毎日の記憶というのは、あまりない。小学校では、お前の親はキチガイとイジメられた。私自身、共通の話題もなく人付き合いの方法も知らない人間とは友達になるのは難しいだろうなと思う。そして親の言うことを鵜呑みにする幼い子供にとっては、親が、あの子の親はキチガイだと言えばイジメの対象にもなるだろう。

 問題は、その、友達になれなくてイジメの対象になるような人間が、他人ではなく自分だということだ。自分なんて死ねばいいのに… などと思うことは、あるいは自分に対するイジメなのかもしれない。