身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

しっかりしなきゃ。

 頑張って机に向かおうとするのだが力が入らない。横になって本を読もうとしても駄目。イライラする。酒に逃げたい気持ちが止まらない。

 今日は週に1度の通院日。予約は例によって午後4時半なのだが、このまま酒を飲むことは避けたいので午前中に予約を変更してもらう。

 診察で主治医から思ったような反応が得られなかった。思うようにいかないなら何もしなければいいではないかと言われるが、そうでないからジレッたいのだ。

 意外と早い時間の診察にしたのに、薬局やなんやかんやで終わったのは昼過ぎ。食事にするが、どの店も混んでいる。

 薬局で、お釣りを貰ったのに、貰ってないと主張してしまい、何かやっていることがトンチンカンだなという自覚はあった。

 それが、定食屋で相席になり、緊張感が高まったのだろう、箸を引っ掛けてお椀をひっくり返してしまった。

 さらに傘を忘れそうになり、店の前にある雨でビショビショになった玄関マットに財布の中身をブチ撒けてしまった。

 よく、ドラマなどで、雨の中、書類を散乱させてしまったOLさんにスポットライトが当たっている画があるが、気分としては、あんな感じ。悲劇のヒロイン。

 財布の中でカード類が雨に濡れてくっ付いている。そんな疲れが出たのか、帰るなり気絶するように数時間、寝てしまった。目が覚めても起きられない。

 再び医者に電話をするが、それは、あなたが囚われているからですよ、そのままゴロゴロしていてくださいとのこと。

 ゴロゴロしたいのは山々だけど、読まなければいけない本もあるし、書かなければいけない文章もある。ついでに観たいTVドラマもある。

 勤めていないのだから、金を稼いでいないのだから、だからこそ、これくらいは、しっかりとやらなくては。