身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

親切にしたい。

 今日、スーパーに買い物に行ったときのこと。キャッシャーの外の袋詰めスペースに空のショッピングカートが。おそらく、その前で袋詰めしている人が使っていたのだろう。

 そのとき、なぜか、無性に「私のと一緒に片付けましょうか」と言いたくなった。知らない人に言われても気味が悪いだろうと迷い、結局は言わなかった。そのことを今でも後悔している。

 「いい人になりたい」という願望は、ほとんどない。それは不親切な人より親切な人にはなりたいと思う。しかし、同時に、おせっかいな人にはなりたくない。この微妙な距離感、判っていただけるだろうか。