身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

編集・校閲。

 大昔、版元から送られた本に川上未映子著『すべての真夜中の恋人たち』というのがある。今、調べてみたら2011年の発行とあり、10年前には、まだ出版界と繋がりがあったようだ。ちなみに版元は講談社

すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)

 

 しかし、当時から、すでに文章を読み書きできないようになっていた。今、やっと100枚前後の原稿は素読みができるようになっていて、病気さえなければ勤めていた出版社を辞めなくて済んだのにと思うと病気を呪うしかない。

 出版社ではなく商社でも、ものすごいパフォーマンスを発揮していたと思ったのに一定期間が過ぎると泡を食ったように何もできなくなる。上司というのは、その兆候に敏感で、ドクターストップがかかると、やっぱりと思うそうだ。

 さて、この本、売ったり捨てたりしてはいないと思うが手元になく、いずれにせよ今も本を読むことができないので記憶を頼りに書くと、これは、ある校閲者の話である。

 で、最初に捲った数ページにあった気がするのだが、「空を見上げる」というのは校閲的に正しくないそうだ。「空を見下ろす」ことはないので、空は単に「見る」が正しいという。本当かどうかは知らない。

 今日、読んだ文章に「6畳一間のワンルーム」という言葉が出ていて、これは、いくら何でも私にもNGだと判る。やっぱり、文章に関わる仕事は面白い。そして、それができなくなった自分が残念である。

 

P.S. 今、Blog友達のBlogを見たら「マリアージュ」という言葉が出て来た。先日、テレビで「いろいろなものがマリアージュして…」と言っているタレントがいて、それ、良く編集でカットにならなかったなと思った。