身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

「アンサング・シンデレラ」第1話を観た。

 医療ドラマと書いているサイトもあるのだが、果たしてこれは医療ドラマなのだろうか。スポンサーを見るとクオール薬局と日本調剤が名を連ねていて、もう薬剤師のプロモーション映像である。

 まったく医療事情が判らない人でも、処方は医者にしかできませんからと言って平気で医療行為をするという矛盾に目が行った人も多いらしいのだが、こういうナンセンスさというのは昨今のTVドラマでは当たり前のことである。

 例えば、今日、放送される"MIU404"では、前々回、Bluetoothの届く範囲で追跡という場面があった。その距離で、しかも移動販売車という目立つ車で東京から御殿場まで追跡すれば、いくら何でもバレる。今のTVドラマに求めらるクオリティーというのはリアリティよりもスリルだったりする。

 実は、私がいた会社の私がいた部署も映画になっている。ただ、老舗商社なので、映像化された時期も古く、小津安二郎の映画である。小津安二郎は地道に取材をしたと聞いているが、映画の中で使われたのは、私がいた部署の核心に触れた部分ではない。

 何事も、リアリティを求めるのなら、ボロが出ないよう、それに深く立ち入らないことが肝要である。ある職業を取り上げた時点で、それは期待してはいけない。

 しかし「病院薬剤師の処方箋」というサブタイトルは何とかならないものか。「○○の○○」というタイトルは品位を落とすと慶應松村友視先生は言っている。村松友視氏の本のタイトルを意識したかどうかは知らないが。