身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

起死回生の物語。

 世事に疎い私だが、なんか今回は周囲のBlog友達の関心も高かったせいか芥川賞のニュースが大量にTwitterのタイムラインに流れてくる。友人たちのBlogで予想されていた方々が獲っているので、まぁ妥当な候補者が受賞しようだ。ちなみに私は1編も読んでいない。

 ネットストーカーが相変わらず騒がしい。ついに私が通っていた高校は中高一貫高校にされ、私は高校から入ったために内部進学者に付いていけないことにされた。そんな奴に学費を払っていた親は… と書いていて、私が特待生だったという事実は、もはや眼中にない。それに魚拓を削除しろと脅迫されているが、私にいわれても。

 物語で大切なのはスキームやプロットであるが、私の場合、それを埋めるエピソードが難しいと思っている。なので、こうも自分の主張を正当化する虚構を紡ぎだせる才能は、ある意味、羨ましくもある。小説家の方々が、よく、ネタのない嘘は付けないと言うが、ネタはなくて妄想で作り上げられるのだから凄い。

 さて、今シーズンはコロナ禍でTVドラマのほとんどが中途で打ち切りとなり、ライブで観た作品が少ない。そんな中、TVerで過去の作品の再配信を観ているのだが、その中でも好きなのはフジテレビの2015年の作品、「ゴーストライター」だ。

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 小説家を描いた作品であり、シナリオライターも作家であるから、小説が成り立つ過程については、なかなかよく描写できている。ただ、あんなに優雅な小説家はいない。しかし、佐村河内事件を受けての急ごしらえのシナリオとは思えないほどストーリーがしっかりしている。

 似た作品で、やはり私が好きな作品に篠田節子氏の『マエストロ』という小説と、それを題材にしたTVドラマがある。

 

 両者とも主演は女性芸術家で、スキャンダルによって、その立場を失脚する。そこからの再生の物語である。2作品とも、登場人物も、よく似ている。「ゴーストライター」の主人公・遠野リサと『マエストロ』の主人公・神野瑞枝。

 それを取り巻く人々も、よく似ている。その立場を利用しようとする、愛人の書籍編集者とスポンサーの社長。書籍編集者の若い男性の部下と楽器店の若い男性社員。そして、副主人公である、ゴーストライターと、かつてのライバル。映像版のキャストも、中谷美紀さんと観月ありささん、田中哲司さんと宅麻伸さん、三浦翔平さんと中村俊介さん、水川あさみさんと伊藤裕子さん。

 こう見ると、単に私が力強い華がある女性が好きというだけでなく、その再生に大きく関与する、若い男性のエネルギーや、これも強いライバルの存在というものにも惹かれていることにも気づく。ライバルと思っていた人物に助けられるという点も、この2つの作品の共通点である。

 根底にあるのは、私自身が堕ちるところまで堕ちていることがあるだろう。既述のように、ネットストーカーに悪し様に書かれている当時、私は高校時代を特待生として過ごし、退学になりながらも、大検を取って進学し、一部上場企業に就職している。問題は、ここからである。

 長期有給休暇を取って日本を南に北に飛び回っていたのに、精神を病み、体重は倍になり、そして無職になった。もう、本当に堕ちるところまで堕ちているわけである。そうすると、もう起死回生を願って這い上がるしかない。そして、這い上がろうと努力して先が見えないとき、これらの物語が、あたかもバイブルのように見えるのだ。