身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

小物特集。第16回「白いスクールシャツ」

 実家に来ている。コロナ禍で人の数が減っているかと思うと、そうでもなく、正午に家を出たのだが電車は座席が埋まるくらい。
 午前授業の高校生が乗ってくるのだが、私より長い間、電車に乗っている高校生もいて、部活の朝練があるときなど何時に家を出るのだろうと思ってしまう。
 そして、皆、着ているのが白いスクールシャツ。そうか、もう6月なんだと思う。社会人になると一斉に衣替えなどしないから、そんなことが新鮮に思える。
 それだけを取ってみると、なんとなく画一的に思えるけれど、彼らには、そこから溢れる若さがある。ルノアールだかどこだか、銀座のチェーンの喫茶店で、ウェイトレスにスクールシャツを支給していると聞いた。彼女らには、そこから溢れる清潔感がある。
 サラリーマン時代の私は、やはりワイシャツは白い物が多かったが、ピュアコットンで、あれだけ厚いシャツというのは、なかなか着心地が良いものだ。白いワイシャツを着ると、当時のことを思い出す… ことはないと思うけど。