身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

分籍。

 叔父の相続のために叔父の母の本籍がある千代田区役所へ祖父の戸籍を取りに行く。叔父と兄弟である母が相続人なので母の委任状が要るのかと思い書かせて持ってきたのだが、孫である私は直系の卑俗に当たるので委任状なしで取れますよとのこと。

 考えてみれば若くして親が亡くなった人などがいるので、そうでないと困るよね。ただ、私が孫であるという証明をしなければいけない。参考にと思って父が死んだときに作った法定相続情報一覧図を持って行って良かった。まぁ、親子の証明だから戸籍謄本でもいいのだけど。そして、当然ながら母は祖父の子供なので祖父の戸籍に載っている。

 祖父は長男だから、これで祖父の戸籍を取って戸籍はすべて揃った! と思ったら、祖父が分籍している。戸籍筆頭者が祖父自身ということに気付くべきだった。しかも、分籍したのは同じ住所。昭和32年で、結婚した、かなり後。しかし分籍した理由が判らない。しかし、私も若い頃、親に反発して籍を抜いてやろうかと思ったことがあった。当時は相続も放棄してやると思ったのだが、実際は相続することになり、分籍していたら、今回と同じで分籍前と分籍後の戸籍を取らなければならなくなり、大変なことになった。

 また、今回、ザーッとした家系図を書いて持って行ったのだが、なんて判りやすい! と千代田区役所の人に喜ばれた。まぁ、前職は事務系の専門職(貿易実務)で書類を読むのが仕事だったからな…。銀行に勤めた女性の同級生に、いいなぁ、有くん(私)はL/C(Letter of Credit・信用状)が読めて… と言われたが、それは必須の授業にあった気が。窓口に座らせられていたので忘れたのか。銀行も銀行で、外為の知識がある人間を、なぜ窓口なんかに座らせるのだろう。

 しかし、千代田区は、出張所で取れる戸籍はマイナンバーカードがあればコンビニで取れるのと同じもので、改製原戸籍などは九段下の本庁舎に行かなければならないという。港区のように、本庁と同じ手続きができる支所というものがないらしい。区の中心部ではあるが、上野に近い神田とか、四谷に近い麹町の人は大変である。

 最初に行った出張所は神保町出張所というところだったのだが、本庁舎への道を訊いたら、九段下の駅を降りて… と言う。神保町の駅に戻るより九段下の駅まで歩いたほうが近いところにあるのに、自分が勤めている区役所の本庁舎まで外出、となったら電車で行っているのだろうか。その点、出張所がなく支所だけの港区は、職員が皆、だいたいの場所は把握しているので助かる。

 しかし、千代田区役所というのは、以前は何があった場所なのだろうか。九段会館だと思っていたのだが、九段会館は向かいにあって、絶賛、取り壊し中だった。旧麹町区役所は、もっと麹町の中央にあったはずだから、ここは東京市の建物があったのかしら。

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 そして、千代田区役所から靖国通りに出たら、もう、そこは古書店街である。こういう、長屋の看板建築を見るとワクワクする。しかし、この2つの書店、若いころ、よく行った覚えがある。何の本を買ったのかは覚えていないが。

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