身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

自粛ポリスが浮き彫りにする松戸の世相。

 この前、渋谷に行ったときのこと。新橋から麻布・白金を通って渋谷に行くバスは、始点・古川橋から渋谷まで明治通りを走る。途中、広尾や恵比寿を通るのだが、午後1時半過ぎなのにパブが多く営業していて人が集まっていることが印象的だった。

 私は好ましくないなと思って見ているのだが、それは、単に、酒で動作が鈍くなって運動不足で免疫力が落ちるのと、血流が早くなってウィルスの循環も早くなってしまうからである。別に、他人事だから、感想は、単に印象的で終わりだ。

 彼らに対して取る行動としては、まぁ、眉を顰めるくらいだろう。私だって過密のところに行かないときはマスクをしないが、他人に移す可能性がない限り、誰かに何か言われる筋合いではないと思っている。ただ、眉を顰められると、やはり居心地が悪い。

 私は非常に世事に疎いのだが、最近、やたらと「自粛ポリス」なるものの存在を聞いて、怖い世の中だなと思う。私は明日からの予定で実家の松戸に行くのだが、松戸でパチンコ屋の客と自粛ポリスが揉めているのは友人のBlogで知った。

 松戸というのは、もともと水戸街道の宿場町で、都心から順番に、千住(足立区)・新宿(柴又のそば、葛飾区)・松戸(松戸市)・小金(松戸市)・我孫子我孫子市)で、その先は茨城県だ(柏が栄えたのは昭和40年代からで、それまで快速列車も止まらなかった)。もう、住民の気質というのは、それだけで判るだろう。

 私の実家がある小金原というのは松戸と柏の境の昭和40年代後半に造成された新興住宅地(ベッドタウン)で、以前、書いたように、リトル東京都港区というような、のどかな町である。小金原という地名は、小金に肖(あやか)って付けているので、松戸の中心地とは距離がある。

 その、のどかな町というのが、松戸の中心部の人間にとっては気に食わないらしい。上品ぶってんじゃねぇと不良に絡まれるから松戸(中心部)に行ったら小金原と言わず北小金(駅の名前)と答えろと先輩方に教わってきた。

 正義感が強く過干渉という下町の気質から、文化的な度合いが少なくなるとどうなるか。正義感を振りかざして干渉するにしても、それは、その時点で倫理的に裏打ちされた正義ではないのだ。僻みもガソリンになりうる。

 もう、虎の威を買う狐である。政府や世論が自粛しろと言っているのだから、政府や世論がボコボコにしなくても、自粛しない人間は自分たちがボコボコにしていいと思っている。むしろ、ポリスに検挙される側の人間だ。

 松戸市に20年も住んでいていうのもナンだが、松戸(中心部)の風紀というのは、そもそも、あまり良くない。松戸駅で降りても、行くのはデパートや市民ホールがあった駅の西口で、繁華街がある駅の西口など、書店以外、行った記憶がない。そもそもソープランドがある場所など、親が行かせないだろうが。

 なので、松戸市の世相というのは、独り善がりで血の気が多い松戸中心部の土地柄と、他人に無関心で大人しい郊外という対比ができている。大人しい人間は他人に危害を加えないが、血の気が多い人間は往々にして喧嘩っ早くなる。実家は松戸の中心部を横切っていかなければならないので、ちょっと怖い。

 

P.S. 数日前に書いたチンピラ風情だが、加害者と被害者が、もろ上の図式に当てはまるので笑ってしまった。