身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

冷静になれない自分、流されやすい自分。

 昨日の続きになるが、元農水事務次官長男殺害事件で加害者の動機が「自分の息子が他人を殺すかもしれない」と思ったというのは、信頼度が高い(リライアブル)ということで、新聞・TVが早くから取り上げていたという。

 私が今いることころは社会に関する意識が薄く、私が新聞を読んでいると気取っていると言われる。横文字の本を読んでる俺カッケーみたいなことを言う人がいる。議論するどころか、誰が、どの段階で、どの情報をキャッチしていたのか知らず、実際は思った以上に早く世に出回っていて驚いた。

 

 もう未見の人も何もネタをバラしてしまうと、TVドラマ「知らなくていいコト」では、加害者は、この事実を隠し、ずっと自分のスパルタ教育が行き過ぎて暴力を振るって殺してしまったと主張する。

 そこで佐々木蔵之介さん演じる週刊誌の編集長が、吉高由里子さん演じる真壁ケイトという記者に、加害者が嘘を付いても守りたかったのは、犯罪者になるという息子の面目なのか、社会的立場のある自分の面目なのか、両方の面から書けぇと、あの口調で命じる。

 真壁ケイトは信用度の低い(どころか裏も取れていない)情報で加害者の面目を潰していいのかと苦悩するのだが、どうでもいいことを付け加えると、リアルタイムでは私は眠剤を服んでから観たので、これが自分の父親とされる殺人犯に感情移入していたためというエピソードが私の中でポッカリ落ちている。

 

 なので、私が、「自分の息子が他人を殺すかもしれない」は後から出た信用度が低い情報だと思い込んだのは、このTVドラマの影響が大きいのかもしれない。しかし、私にとって、こちらの方が「警察も弁護士も裁判所もマスコミもみんな判りやすく納得する方法に流れやすい、その流れの中で出来上がった話」のような気がする。

 「知らなくていいコト」では、留守宅に上がり込んで家事をして去っていく老人という挿話がある。留守宅に上がり込んで家事をする動機も、最初は家族を体感したいというものだったが、実際には最新家電を試してみたかったというものだった。こんな動機は面白くないと言った記者がデスクに指摘される場面がある。

 

 冷静になると客観的になる。穿ってみる。側面を探したくなる。そして至ったのが、昨日の、問題があったのは加害者である父親の方で、問題があるゆえに外部に委ねることができずに自分で殺してしまったのではないかということだ。法治国家で人が人を殺していいわけがない。

 流されやすいのは自分も一緒で、TVドラマの影響があったとはいえ「自分の息子が他人を殺すかもしれない」の信頼度が、実際より低いのだと思っていた。そして、この手の話になると冷静になれない自分がいる。水が半分、入っているコップがあって、水が半分しか入っていないと取るか、水が半分も入っていると取るかという例えに行きつく。

 

 冷静になれない、流されやすいというと、これもそうだ。一昨日、バズとまでは行かないが、このBlogの同時接続数が、他の日は少ないのに急に大きくなった時間があった。私はWebの解析をしたことがないし、SEOなどするつもりもないのでログを深く読むことはできず流入元が判らないが(nofollowを入れられただけで判らない、no-referrerを見ればいいの?)アクセスされていたのは、このエントリーだ。

circumstances.hatenablog.com

 

 自分で殺すのが悪いと判ったからといって、頼み込むのが、これらの企業(病院より企業の方でシークしたよう)だったら、まだまだ冷静でなく流されている気がする。本当にメディアで取り上げられたから安心なのか。自分が殺すのか他人が殺すのかというだけの話になってしまう。しかも、この事実が明るみに出たのは元農水事務次官長男殺害事件の数ヶ月後だ。

 今、こんなことを書いている私のPCの画面にも(広告のパーソナライズを最小にしているためか)同様な企業の広告が流れてくる。謳っている資格が民間資格で、しかも正規従業員の姓が、全員、同じとは非常に判りやすい。冷静になって従業員の姓を見、判りやすいインターネット広告に流されないようにしたい。