身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

時間のムラ。("Tokyo Sightseeners' Guide - Kanda Jinbocho petit")

本文

 誰もが体験したことがあると思うが、時間が流れるのが早いこともあれば遅いこともある。今日は、私にとっては異様に遅い1日だった。

 今朝は午前9時半まで起きられなかった。午前7時過ぎに一旦、目が覚めたものの、何か、今日の予定が物凄い重荷に感じられた。

 そして起きたのは午前10時近く。頭の中に腰があったら、頭が腰を抜かしているのではないかというような気分だった。

 今日は午後4時に歯医者の予約がある。なぜ、そんな半端な時間に予約をしているのかというと、起きられるかどうか判らないからだ。

 結果、それまでの中途半端な時間を家で過ごすこととなる。その中途半端な時間にできることを考え、本を読むことにした。

 昔、図書館で初めて読んだときには、のめり込んで数時間で読み終わってしまった、軽い短編集である。

 縁あって我が家にやってきた文庫本の束がある。幸い、その文庫本の束の中に、その作品があった。

 しかし、全然、面白くないのだ。無理して読んだものの、しっくりと頭に入って来なくて、どういう展開で今があるのか判らない。

 ネットを見てみる。Blogの面白そうなエントリーなどを見付けても、どうも頭に入ってこない。後で読もうとデスクトップにショートカットを作っておく。

 私の場合、デスクトップのインターネット・ショートカットの数は、充実した時間を過ごせていない象徴である。

 今さらであるが私は無職だ。サラリーマンを経験しているから、働いている人の忙しさというのは知っている。

 なので、こんなに暇で済まない、という罪悪感に苛まされている。

 

Tokyo Sightseeners' Guide - Kanda Jinbocho petit

 歯医者に行ってきた。夕立の予報があるので傘を忘れずと言われたのだけど天気は持った。行きはTシャツ1枚では寒いかなと思い上にYシャツを着て行ったら暑かった。

 神田には四谷大塚お茶の水校から駿台予備校、神田外語学院と10年近く通った。漱石が考案したと言われる「洋風かき揚げ」というメニューがある「松榮亭」が、まだあって驚いた。

 歯医者は須田町だが、三田線沿線に住んでいるので神保町から歩いた。いつも小川町の交差点に来ると次の交差点が須田町だと思うのだが、淡路町だ。行きは長く感じる。

 歯医者で治療して麻酔が残っているようだったら止めようと思ったのだけど、麻酔をかけなかったので、帰りは気になっていた冨山房の喫茶店「サロンド冨山房Folio」へ。

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 冨山房の社長がいた(面識なし)。言葉を交わしていた女性客の一団は漱石『それから』の話をしていた。鷺沢萠氏の有名写真の舞台の傍で鷺沢萠作品を読む。面白い。家でも、そちらを読めばよかった。冷房が寒くて、すぐに出た。

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