身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

ストレスを溜めないために物を買い漁って生きていく。

 ここ数日、私は狂ったように買い物をしている。今日もLPレコードのケースが届いた。先日メルカリでレコードを買ったのだが、本棚に入れておくと、ものすごく出っ張る。それでも少しは賢い消費者になって、Amazonでは送料を取られるので製造者から直に買った。

 しかしメルペイを始めるときに山田会長が銀行振り込みは無駄というようなことを喋っていた気がするが、メルカリの売り上げが1万円に満たないと銀行の振込手数料を取るというのは恐ろしいシステムだなと思う。

 ポイントだったか売上だったか知らないが、たしか有効期限があったと記憶している。クーポンなどでユーザーに還元してはいるが、メルペイで買い物をしないと即ちメルカリの内部留保になるのか… などと、経済は良く判らない私は考えてしまう。預金などせず嫌でも金を循環させろということか。

 さらに、今日、物を数点、売った。前にも書いたが、相場などは全く見ず、自分が、この程度の価値があると思った値段を付けて売っているので、物によっては出品して数秒後には売れる。今日は1秒もしないで売れたものがあって驚いた。まだないのかとコメントも来るが、こちらはブローカーではない。しかし同じような人は他にもいるようで、買い手としても、もっと高くても買ったのにと思うものも多数ある。

 そして初めて「らくらくメルカリ便」というものを使った。今までは古い切手が沢山あったので郵便で出していたのだが、そろそろ使い切った。そして、寓居の1階はセブンイレブンである。

 送料を払おうとしたら、控えの伝票に「代済」と書いてあって、どういうことかと思ったら売り上げから天引きされるという。さすが銀行振り込みは無駄という会社である。買い手が金を払うまで立て替えておく体力もあるのね。合理的になればなったで結構だし、不要な物を捨てなくて済む、これは、まさに時代のニーズであろう。

 しかし、なんか物足りない。これは合理化とのバーターであるが、この前は取引画面で売り手と買い手で品物についての話で盛り上がったのだが、売り手の意志や、そういうコミュニケーションが失われていく。ヤフオク! 全盛期には、カード決済すらできず、入金日の連絡などもしていたものだ。

 クレジットカードが誰にも持てるようになる前の話は何度も書いている。昔はファミレスも特別な存在だったとも書いた。そういう些細なことで“特別”が感じられなくなっている。それこそ、どこかの実業家のように大金を稼いで月に行くぐらいしないと“特別”は感じないのではないか。

 以前、書いたように、私は、時計は正確な時刻を刻めばいい、筆記具も綺麗に書けて書きやすければ、メカニズムなど、どーでもいー、と思っている。しかし、他方、所有欲というのは異様なほどあり、それが、今のような買い物依存になっている気がする。シュリンクや世話になっている前任の保健師さんなどに話すと、それを止めるより今はストレスを溜めない方が大事だと言われる。

 私は写真が趣味で、露出計なども見なくてもブラケティングもしなくてもマニュアルで一発で露出は決まるし、被写界深度が確認できないカメラでも適切にF値を決められる。それでもカメラはデジタルだ。たまにフィルムのカメラの使い方を訊きに来る人がいるが、自分は気に入った物を除いて、1年前に、何台、ではなく40㎏処分した。

 味気ない現代において、私の気が休まることといったら、物を買い漁ることなのかもしれない。カメラと同様、かなり処分したが、単行本は常に100冊あるし、アンプが壊れていて実家のステレオも捨てられてしまったが、レコードも順調に増えている。

 質より量ではないけれど、物に囲まれることが私にとってのストレス解消法なのかもしれない。しかし、37㎡の2DKで布団を1枚しか敷くスペースしかないというのは如何なものか。父が死んで誰も実家の2階に上がれる人がいなくなったので、倉庫代わりに使おうかと思っている。

 そうすると、今度は何を使って運ぼうかと思ってスーツケースを見たり、車を見たりする。不思議なことに時計とかカメラとか筆記具には興味がないのに、なぜか学生時代は色々な自動車メーカーから色々な車を借りては雑誌にレポートを書いていた。

 きっと、今の所持金でスーツケースを買って、小金を持ったら車を買ったりするのだろうな。昔からオープンカーに乗るのが夢で(拝読しているBlogの筆者の方が書いていて思い出した)、BMW3シリーズのコンバーチブルに右ハンドルが出たときには狂喜乱舞したものだが、すぐにハードトップになってしまった。

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 大昔にFacebookページで触れたが、鷺沢萠著『バイバイ』で、「右ハンドルでオートマティックだから、という安易な理由」で「赤いBMWコンバーチブル」を売るという話が出てきて、初出が1997年だから、それはない。鷺沢先生、左ハンドルのマニュアル車ばかり乗っていたのでボケたのか。

 しかし、私が学生時代、マーチ・カブリオレ(もちろんメーカーからの借り物)に乗っていたら、友人に、何で大きな図体で、そんなの乗ってんですか! と言われたことがある。ジャガーEタイプがお似合いと言われたが、そんな貫禄はないです。でもアウディメルセデス・ベンツコンバーチブルは欲しいな。

 私は、これからもずっと、物を買い漁って、それらの物を所有することに拘って生きていくんだろうなと思う。レコードケースも買ったし、今度は、それらや私を入れる入れ物、少し家を買うことを心の拠り所にしていこうと思う。鎌倉の瓜ヶ谷に、ちょっとした屋敷が売りに出ていて、それを買うという可能性がゼロに近い夢にしか縋れなかった日々のことも書いた。

 首都圏に車庫と本棚がある家を買う… 未来予想図というより、もう、願望である。そんな願望を抱えながら、メルカリで鷺沢萠作品文庫本11冊まとめて送料込み400円で買った中の『バイバイ』読み直します。これが取引画面で盛り上がった方なのだが、前のオーナーさん、読み込んでいます。

 

 

 

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