身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

遺産を独り占めしようとするキチガイ母。

 今朝も起きられず、このままでは働けないという恐怖に近い焦りを覚えた。そして、いつも色んな人に言われる「キチガイの息子」ということを実感して、さらに陰惨な気分になる。

 その母である。相続というのは本来は不要な手続きであり、私が遺産を「ブン取る」ために、わざわざ、そういう手続きを作り、嬉々として動いていると詰(なじ)っていたことは、すでに書いた。

 その後、不動産は母の物、私のために買っておいたという株式は私のものとし、その他の遺産は、母の口座に入れて、全額を把握してから新たに分割協議をしようということで合意した。

 しかし、である。母は、誰も相続の手続きなどしている人はいないなどと言いながら、近所に、ご近所さん価格で相続の手続きをしてくれた税理士さんがいたのに亡くなってしまったなどと言う。結局は、相続の手続きをしている人がいることを母は知っていたわけだ。

 かつて、大学に受かったら大学に行かせてやると言って、私が大学の入学手続きまでしたのに入学金を振り込まなかったり、入院した時の医療費を、すぐに後から振り込むから私のクレジットカードで立て替えておけというので私のクレジットカードで払ったら、払わなかったりしたことは、すでに書いた。

 前者は就職活動ができずにブラック企業に入社することになり、しかし、親は、毎日タクシーで帰るのを、会社が新入社員に残業をさせるわけがない、夜遊びしていると言って家を追い出し、私は自殺未遂にまで追い込まれたこともすでに書いた。後者は、リボ払いにするしか術がなく、金利が50万円近く付いたものを数年がかりで返した。

 私は夏は40℃を超える部屋に監禁されて水も与えられずに精神に障害が出て、入院先の病院から大検を取りに行き、猛勉強をして大学に入学をした。成績も全優だった。それを、勉強など嫌いなものに決まっているから長時間、机に向かっているのはボーッとしているに決まっていると言った。タクシー帰りについても、逆に新入社員に夜遊びをする金などないとは思わない。

 精神に障害を負ったのも、自殺未遂をしたのも、私が怠けるため、親の気を引くための口実だと言う。しかも、そのときに言わず、後から学費だけ払わないとか、病院で分割払いにすることができたのに、それをさせずにカードの金利を負担させるとか、本当に母がキチガイと言われる理由が判る。

 そして、今、相続の手続きをしている人などいないと言いながら、実際にしている人がいるのを知っていたことが明らかになり、また、これは自分が都合がいいように動くつもりなのだと考えが至ったのだ。