身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

親だと思うな。

 父が死んで母に振り回されていた当時、主治医にも、何かしてもらったわけではないから何かしてあげようと思わなくていいですよと言われた。よく両親を惨殺しませんでしたねとも言われた。

 母から夜遅くや早朝に電話があり、もう駄目だとギャン泣きする。早く来いと言う。

 いろいろな人に言われる。

 夏は40℃を超える部屋に閉じ込められて水も与えられず熱中症で倒れたこと。成人式に出さずに監禁され、それなのに「良い成人式だったんですね」と言われたこと。大学に進学することを前提に進んだ専門学校で全優の成績を取って大学への推薦を取ったのに、その成績を無視して勉強なんて嫌いなものに決まっているから机に向かっているのはボーッとしているに決まっていると言われ、大学へ入学手続きもしたのに入学する段になって学費を払われなかったこと。精神を病んでも自分たちに都合がいいことを言う医者にしか掛からせられなかったこと。そして家を追い出し、電話をしてもガチャ切りし、文字通り門前払いをしたこと。挙句の果てに殺人を請け負う精神病院に入院させて殺そうとしたこと(そういうことで有名な精神病院だとは退院してから知った)。死んでもお前の世話に何かならないから良いんだと言って憚らなかったこと。

 そういうことをして忘れている人間を親だなんて言わないでいいですよ、今度は、行ったら金を取るというのはどうですか? アメリカなら当然のことですと言われる。親にわざと借金を作らされ、毎月4万円返済していたこともある。いいアイデアかもしれない。