身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

不眠不休で不要不急。

 相変わらず実家にいる。母は夜行性なので普段の不眠に加え、その時間の不眠が加わり、本当に不眠である。ただ、母の生活騒音による不眠は自分の精神に起因していないので(昨日、書いたような不快感がない)、起きて何かしなくてはならないという気分にはならない。不眠ではあるが不休ではない。

 さて、今日は郵便局に母の入院保険の請求に行った。別に期限があるわけではないのに母が今日中に病院に診断書を取りに行って今日中に請求をしろと喚いて聞かないのだが、幸い、診断書は友人が来た時に母が病院に取りに行ったとのことで助かった。病院には往復で1時間以上かかる。

 さて、コロナ禍である。別に保険の請求は不急ではないが不要な手続きでなく、おそらく請求期限というものがあるだろうから近いうちに行わなければならない。それなら今日でなくてもいい半面、今日であってもいい。いずれにせよ私は手続きを市に実家に来たわけなので少なくとも今回の滞在中にはしなければならないことである。

 ただ… 気が緩んでいた。郵便局に行くのにマスクを付けていくのを忘れた。郵便局は町の中心部にあるのだが、町の中心部に行き人通りを見て、初めてマスクをしていかなかったことに気が付く始末。言っておくが私は新型コロナウィルス感染症を脅威と思っており感染防止に力を入れている人間である。だったら非常事態宣言が出ているのに越境の移動をするなという話もあるが。

 郵便局に入るのを戸惑ったが、片道10分近くを掛けてマスクを付けに帰るのは、さすがに面倒だ。結局、今は窓口もビニールカーテンで仕切られているからいいか… と郵便局に入った。特に構内でも窓口でも注意はされなかった。しかし、不急であるからこそ、ちょっと立ち止まってマスクをしたかくらいは確認すべきであった。

 さて、郵便局では手続きで30分、待たされた。持って行った書類を入力して帳票を作っている郵便局員を見て、やっぱり私は事務という仕事が好きなのだなと思った。父が死んだとき、郵便局員がしている事務を見ていて、横から手続きミスを指摘してしまったくらいだ。私はもともと貿易事務も仕事をしていて、信用状番号などのランダムな数字というのは苦手であったが、数字にも意味を見出すと事務というのもなかなか楽しい。

 とりあえず今回の実家に来たミッションはコンプリートしたので、明日は東京に帰れる。目出度し目出度し。気を軽くすると考えると不急でもなかったのかもしれない。