身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

実家から帰った。

 昨日は母の話に付き合い一睡もできなかった。しかし、ミッション・コンプリート! 今日は家に帰れるぜと思っていたのだが、また無理難題を吹きかけられた。

 市役所の電話番号を調べて書けとメモ用紙を渡されて、書いて渡したら、そんなの見えるわけねーだろ! と罵声を浴びせられる。

 そして、おもむろに市役所に電話を架けて、埋葬先がなくて家に骨があって困っているなどと言う。そして、いきなり私に電話を替われと言う。

 市役所の回答ととして、そんなことは市役所に言われても知りませんねという至極真っ当なもの。ネットで調べたらどうですか? と言われる。

 今度は目の前にスマートフォンがあるんだからすぐに判るだろうと言う。スマートフォンが、そんな、どんな疑問でも解決してしまう魔法の機械であるはずがない。

 母は明日にでも死ぬんだから今日中に解決しろとギャンギャン喚く。もう、困ってしまって放って帰ってきた。とにかく私は一睡もしていないのだ、今日は寝る。