身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

当事者。

 事件の当事者なので色々なことはいえない。TVなどで見るが、こうも、いえなくなることが多くなるものか。しかし、よく、警察の捜査中なのでというコメントをしている人がいるが、事件の解決・終結は警察の取り調べの終了ではない。法務省のサイトに判りやすい図式があった。

 

 今回、弁護を依頼した、弁護士をやっている友人から霞が関に来られないかと電話があり出向く。彼の事務所は九段下なので、むしろ、私としては霞が関の方が好都合だ。弁護士会の会員だと弁護士会館の個室が使えるという。

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 急にPCとWi-Fiルーターを取り出し作業をするので何かと思ったら、その場で私の委任状などを作成し、会館事務室のプリンターでネットプリント。商工会議所にも自由に使えるタイプライターがある(20年近く前の話なので今は知らない)のだが、事務系専門職の私が驚く手早さだ。裁判所や検察庁の近くに、こういう場所があるのは便利だな。

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 どうも、私が悲観するほどの事態ではないようで、少し安心した。ブラブラと新橋(最寄りのJRの駅)まで歩き、銀座で飯でも食うか… と思い、日比谷公園を突っ切る。ここに来るのは久しぶり。子供のとき、野音を撮った写真が何かに入選したことがあり、懐かしくて、横を通った。

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 私の物心が付いたときからあるのだから、ところどころ痛むわけだ。そして、西新橋(東京の人間は発音が「にっしんばし」になってしまうので旧称の田村町を使う人が多い)交差点に来て、あれれ? この、三井住友銀行があるところって、銅像が印象的な日本石油(日石本館)があったところ? と思う。ステーキハウス・フォルクスの向かいだった気がするので、たぶん、ここだ。今、ネットで検索したら、銅像は新本社に移築(?)されているとのことで、ホッとした。

 写真は撮っていないが、日石本館だけではなく、色々な建物が変わっている。印象深いのは飯野ビル。新卒で入ったのが海運業で、暇なときは自ら船荷証券を受け取り(業界用語でいうB/L揚げ)に行ったので、そのときのビルから見ると新しいビルが貧相に見える。逆に富国生命ビルやプレスセンター・東京新聞社の並びは変わっていない。

 ここまで来るとホッとする場所は、内幸町から銀座に出る線路下。この並びに最後に勤めていた会社の上司の行きつけのスナックがあって、私たち部下は特別に連れていくという感じだったのだけど、普段から銀座のバーで飲んでいた私には、なんか、ね。奢りだから判らないけど、こんな一等地で場末のようなスナックって、幾らくらいのものなんだろう。

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 田町まで山手線2駅だから、歩きか、途中からバスに乗るか… と思ったが、けっこういい時間になってしまった。歩きどころかバスでも間に合わないので電車に乗る(といっても都営交通の無料乗車券があるので山手線ではなく地下鉄)。山手線なんて、乗ったのは、ここ5年で2回くらいではないか。

 医者は、明日のことより母のことについて話す。他のことは冷静沈着に行動できているのに、なぜ母親のことに拘泥するのかと言う。いい思い出がない親なんて放っておいて… というような話をするのだが、手元に鷺沢萠『川べりの道』が入った「帰れぬ人々」があるから、それでも読んでくれ。親に金を貰う私の気持ちが解るよ。

帰れぬ人びと (講談社文芸文庫)

(解説がクズ過ぎるのでブックオフなどの100円古書店で文春文庫版をお求めになることをお勧めします。)

 

 弁護士の友人も私の親子関係には気を配ってくれていて、法律家としてのアプローチとして、家庭裁判所調査官OBがやっているという団体を教えてもらった。ニーズに合うかと訊かれたが、よく判らない。医者が頼れないから、駄目元で、この辺を頼ってみるかな…。