身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

映画「コーヒーが冷めないうちに」を観た。

 内容なんかより最後まで通して観られたことが嬉しい。冒頭から喫茶店に常連客が屯していて、あぁ、これは退屈するやつだ… と思ったら、そんなことはなかった。

 この映画の良いところは、悲劇的要素が少ないことである。せめてメインの登場人物の妹が交通事故で死ぬ程度か。そして、それらの悲劇が全て好転することである。

 この物語の設定として過去に行けるけれども事実は変えられないというものがあり、まぁ、原作者の過去よりも未来を生きましょうという主張なのだろう。

 過去は変わらない。しかし、過去の真相を知ることによって現在に活かして未来を変えることができる。そんな登場人物の誰も後悔しない映画だった。いわゆる「いいお話」。

 しかし原作は版元がサンマーク出版ということで、たぶん読まないだろう。そんなところから出ているのなら大手の文庫にも入らないだろうし。