身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

TVドラマ「ファイトソング」を観た。

 何を考えたのか眠剤を服んでから観たので詳細は覚えていないが、まぁ、これから先も観るだろうなと思う作品だった。ここで感想を書くにあたりネットの評判を見てみたのだが、酷評の嵐。そんなにツマラナい作品とは思えなかった。

 まず、岡田惠和さんの脚本は、いつも優しい。「にじいろカルテ」のときもそうだったが、主人公(達)には後がない。しかし、それでグレたり過激に走らないのが、私が岡田惠和さんの脚本を好きな理由。

 登場人物が、常に健気に前を向いている。これは、決して不慮の事故で将来を奪われたという場合だけではなく、例えば「最後から二番目の恋」で、将来に楽しいことがないであろうアラフィフの主人公たちにも言えること。

 特に本作では、崖っぷちのミュージシャンが最後、主人公に付き合わないか? と言う。クラシックの世界でよく言われる言葉だが、恋をすれば音楽が変わるというのがある。このミュージシャンも、何かに助けを見出そうとしているのだ。

 恋をすれば何か変わるのかもしれない… という、恋というのは副次的なものであって、本作の主題ではないと私は思う。おそらく、冒頭に書いた酷評した人たちは、もっと恋というものが、このドラマで大きなウェイトを占めていると思っているに違いない。

 第1話を観る限り、私にとっては、これから何が起こり、それが、どのような化学反応を示してくれるのか、今後が非常に楽しみな作品だった。岡田惠和さんの手によって、それが、希望を持てるようなものに仕上がっていくのが何よりも楽しみだ。