身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

もう10年。

 早いもので東日本大震災から10年。朝、近所の交番に日の丸が掲げられていて、今日は旗日だっけ? と思ったのだが、おそらく半旗だったのだろう。

 当日、私は築35年になる寓居マンションの8階の自室にいた。薬で身体が動かなかったが、地震で逃げられなければ死ぬつもりをしていたので、さほど怖くはなかった。

 正直にいうと、精神状態が悪くて、よく覚えていないのだ。私の家の前も都心から郊外に抜ける大通りが通っているのだが、帰宅難民のことはTVニュースで知った。

 地震とは直接関係ない話だが、友人が、常々、人間は海洋汚染は起こすし自然に対して傲慢だと怒っている。

 しかし、人間は雨を凌ぐにも傘ていどのものしかなく、地震が来てもオロオロするしかない。人間は自然の前に無力だなと、つくづく思う。