身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

有難み。

 まだ実家で母の手伝いをしている。金曜日にショッピングモールに行ったときの話で、いろんな人に同情されている。いや、私が同情されているというより母が非難されている。

 自分が行きたい店にも入れなかったと言うと、もっと根幹的なことだと皆、口を揃える。3時間近く自分に手取り足取り付き合わせたのだから感謝の言葉ぐらいあるべきだと言う。

 母に自分が何をしているのか思い知らせた方がいいと言うので説教ををすると、なんで私に感謝しなくてはいけないのかと言う。

 当たり前のようにしているから有難みがないのではないかと言う人もいた。父や叔父が亡くなったときも、普通に生まれてから死ぬまでの全ての戸籍謄本を取り銀行の残高証明を取り税理士に引き継いだ。人によっては戸籍すら取れないという。それを普通にやってしまうから有り難みがないのだと言う。

 今日も母に付き合い買い物に行った。そんなの行かなくていいですよと怒りを顕わにする人もいる。やっぱり甘いのかな、私。