身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

竹内結子さんが死んだ。

 朝、友人からLINEが来て知った。ほとんど連絡などしてこない奴で、わざわざLINEをしてくるくらい大事だったのだろう。その友人でも大事なのだから、世の中では、その話題で持ちきりのはずだが、やはり書く。

 自殺することにどうこういうのは無益なことだと思っている。残された子供はどうなるとか周囲の悲しみはどうなるというのは、自殺した人は当然、考えていることだ。考えたうえでのことだ。

 さて、今回、スマートフォンでざっと見た限りだが、自殺云々も当然あるが、いい役者だったのにとか、今後、彼女の演技が見られなくて残念といった女優としての仕事について触れられているものが多かったのを見て、変な言い方だがホッとした。

 竹内結子さんについては以前のBlogでも取り上げたことがある。いい役者だったと私も思う。もっとも最近の出演作品だと映画「コンフィデンスマンJP」ということになろうが、以前のBlogではTVドラマ「スキャンダル専門弁護士QUEEN」を取り上げた。

 良い役者というのは見る人が感情移入できる演技をする人だと思う。そうすると、どうしても演技がオーバーアクションにならざるを得ない。感情が昂ったシーンだと良いが、落ち込んでいるシーンなどは、それでは困る。

 「スキャンダル専門弁護士QUEEN」で上手いなと思ったのは法廷のシーンだった。勝訴するのが最初から判っているのであるが、劇中でも視聴者に対してでも、気を持たせなくてはならない。そうすると、悲愴にくれた顔も落ち込んだ顔もするわけにいかず、ポーカーフェイスとなる。

 その、押すとも引くともしない感情の表現に、私はウームとなった。ただ単に突っ立っているだけではなく、セリフもアクションもないのに存在感があるのだ。

 竹内結子さんは享年40歳だと報じられていた。そうすると、この役は30歳代で演じたことになる。死んでしまったことは悲しいとしかいいようがないが、それ以上に、これからの演技が見られないのが残念である。

 竹内結子、つくづく、いい役者だった。