身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

バブル崩壊って何時だったっけ?

 体調が悪いので手身近に。

 2000年に刊行された鷺沢萠著『失恋』を読んでいた。その中で『欲望』はバブル崩壊のときを描いた物語である。「プラザ合意の締結は85年、総量規制は90年」と書いてある。しかし、バブルが弾ける前の記述で「公定歩合が5パーセント台あった当時」という記述を見て、この前後の時代の感覚というものが私にはないことに気が付いた。

 私はロスジェネの先駆けである。私が卒業した1992年はすでに就職難に突入していて、専門学校では新しくできた東京ディズニーシー卒業記念日帰り旅行の金を慌てて就職セミナーの金に換えた。なんで、そんな講師を頼んだのか、就職雑誌の編集長で、説得力もなければ予測はすべて外れて、学生から大ブーイングを浴びることになった。

 さて、私は新卒で入った会社を過労で辞め困っていた時、母校のOBが多く勤めている商社から欠員が出たということで雇ってもらった。精神状態が最悪の私は1年で辞めることになるが、ホワイトボードに為替レートと本船スケジュールを書くのが1日の始まりだったので、為替レートには敏感だったと思う。

 しかし、である。私は為替売買が自由化されたときにドルを買って高値で売り抜けた覚えがあるのだが、それが何年のことか覚えていない。貧乏で、あまりに買える額が少額で、外貨預金ができればいいのにと思った。また、住宅ローンを組んだのは、ほぼ同時期、バブルがはじけた後だと思うが変動金利で6.5%だった。

 メンタルが最悪のときだったので、ほとんど記憶にないが、そんなに急に不景気になった覚えとというのもない。ただ、新卒で入った会社では残業をするとタクシーが拾えなかったが、転職した先では普通にタクシーを拾えるようになったので、それで何となくバブル崩壊を実感した感じだ。ちなみに、それが1995年のことである。