身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

銀座9丁目は水の上…。

 用事があって銀座8丁目に行ってきた。銀座にも名店と呼ばれる喫茶店が数店あり、そこで時間を潰しても良かったのだが、時間が余りに余るので渋谷へ。渋谷から新橋はすぐである。

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 普段の夜に銀座に行く機会がなくなって久しいが、人通りは少ないと思う。ただ、タクシーでクラブに乗りつけている人がいて、様子からすると政治家が公用車で来ても不思議ではない。

 帰りは、また新橋から。途中、土橋(固有名詞)を渡る。汐留川の上には高速道路が走り、下は店舗になっている。その商店街を銀座ナインという。銀座の北端は京橋で、南端が新橋、京橋から1・2… 8丁目まで丁目が振られている。昔から変わらないらしい。

 なので、9丁目という丁目は存在しない。8丁目の次だからナインなのである。そして、人があまりいない銀座の街を歩きながら、母が良く口ずさんでいた銀座9丁目は水の上… という歌を思い出した。

 そして、鷺沢萠氏のデビュー当時の作品の世界だなと思う。鷺沢萠氏は村松友視先生の影響を受けていると言っていたが、この空気は、村松友視より、行ったことのない大阪を舞台にした宮本輝氏の作品だな… と思う。

 訪問先で、あの店も、代替わりして、だいぶ変わったよと言われたが、村松先生行きつけの、あの喫茶店に寄っても良かったかな… と思った。ただ、どの店に行っても、常連さんがいると居心地が悪いものだ。