身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

酒を飲む理由。

 アルコールに関する事件があったせいかTwitterのトレンドに「依存症啓発漫画」が入っていた。これのことだ。アルコールの章だけ読んでみた。

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 この前、一木けい著「全部ゆるせたらいいのに」を読んで、何かなぁと思ったのだが、アルコールを欲する理由の変化などが上手く描かれていると思う。ただ、本人の目線で見た気持ちというのは描けていない。これは飲んでいるときに現在進行形で表現できないからかもしれない。

 しかし、この漫画でも、主人公が最初は楽しく飲んでいた酒が、だんだんと酔えばいいとなっていく過程が描いてある。私も酒飲みで、同じような過程を踏んだことがある。

 もともと一晩でウィスキー1本を飲む大酒飲みだったのだが、途中、ものすごくストレスが溜まる仕事に転職をした。そして、酒に逃げて半年で60㎏太った。

 その仕事を辞めたら酒は嗜む程度になり、つい数年前まで、それが続いた。そして、私の旧Blogをお読みになっている方はご存じかと思うが、数年前から酒を飲まないようにするのに苦労した。

 今もそうだが、旧Blogに書いていた当時は、起きたときから恐怖に襲われていて、その気持ちを紛らわせる手段というのがなかった。この恐怖もPTSDの症状らしいのだが、過去は変えられないものである。また、さるバーでは、私は親のことを嘆いては泣いていたという(伝聞)。

 たまに今でも飲みたいなと思うことがあるが、訪問看護師が飲酒に厳しかったので飲まないでいる。飲酒の原因となることへのサポートも手厚く、そのために飲まずにいられたのだと思う。

 結局、楽しい酒というのは節度を守って飲めるものなのだが、抱えられない現実があったとき、人は酒に逃げる。それは酔えばいいという酒であり、酔いが醒めるのを良しとしない。

 私の主治医が、酒の効能として、すぐに酔えるし自分で加減ができると言っていた。苦痛を逃れて飲む酒は、まさに即効性を求めるものであり、より酔うように自分で加減しているわけだ。

 酒を飲む理由、特にアル中になるかもしれないのに飲む理由というのは、抱えられない現実からの逃避であり、それは快楽を求めるというのと、また別のものだといえるだろう。ちなみに私はそういう精神状態だったら飲酒しなくても車の運転はしない。