身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

一生分、苦しんだ。

 朝から激しい恐怖に襲われて起きることができない。今、これも布団の中でスマートフォンから書いている。

 訪問看護師が急用ができて朝のうちにしか来られなくなったというのだが、むしろ、それが良かった。心拍数が130を越えるというデータが取れたそうだ。

 何に対する恐怖というわけではないんですよねと言われ、よく判っていて嬉しい。誰だったか専門家と言われる人に、恐怖というのは何かに対する恐怖しかないと言われたからだ。

 それから午後8時の今まで、時には気を失い、時には他の部屋で電動工具を使う音が頭に響き、12時間以上、苦しんでいる。その苦しみはインフルエンザで40℃の熱を出す比ではない。

 もう何十年と苦しんでいる。私には健康なときもあったが、それが続くのが普通の生涯だとすると、もう一生分の苦しみを優に味わっている。