身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

苦しんでいる人が偉いということはありません!

 今日も苦しんでいる。それでも何とか午後2時に起き上がり、1週間ぶりにゴミ出しができた。食べ物を買いに行けないし、そもそも食べるために起き上がるのが苦痛なので、1週間で4㎏、減った。苦しんだ後は、その疲れで、図書館から借りた本も督促が来ているが読めないし、溜まっているTVドラマも観られない。

 それで思い出すのが冒頭の私がクズ医者と呼ぶ前任の主治医の言葉だ。同僚とともにクズ医者の誉れ高くなって、都立広尾病院の精神科(神経科)の待合室はガラ空きだそうだ。そのクズ医者に唐突に「苦しんでいる人が偉いということはありません!」と言われたときには、何のことかサッパリ判らなかった。

 この医師は、心臓が針の筵の上で転がされていて起きていられないと訴えるとゴロゴロしたいための言い訳と言い、夜、横になっても心臓がグサッと痛んでウトウトもできないと言うと、夜更かししたいための言い訳と言った。

 1日に1時間も眠れず、その時期、髪の毛が総白髪になって周囲に驚かれたものだが、その医師は、まったく気が付かない様子。食事も満足に取れずシャワーも浴びられず、皮膚も、まるで口髭を生やしたようにボロボロに剥離していたのだが、それも怠けて風呂に入らないからだと言われた。人間の皮膚は、このような状態にボロボロにならないということを、医者として目にして来なかったのだろうか。

 私は放っておけばゴロゴロして夜更かしをするものだと決め付けている。起きてTVも付けられないと言ったら「そんなものは観なくていい!」と怒鳴る。他人が自発的に努力をすることやTVには有用な番組があるということも傍から否定しているのだ。他の医師曰く、アイツ(もう先生と呼ばれていない)は頭が固いからなということだ。想像力の欠如と言おうか、見識が浅いと言おうか。

 また、苦しくて♯7119に電話をしたら、そのまま119番に繋がれて救急車を呼ばれた。心臓外科医は心疾患(静脈血栓症)の症状を呈しているから血栓を見付けるようにと検査を勧められたのだが、クズ医者の次の診察のとき、こうやって診察に来られるんだし心臓病の訳はないと言った。同じ病院なのでカルテは見られるのだが。言っちゃぁ悪いが単なる生意気なワカゾーである。

 何の前触れもなく「苦しんでいる人が偉いということはありません!」と怒鳴られたときは、何が言いたいのか、皆目、見当が付かなかった。その時は、コイツは何を訳の判らないことを言っているのだと思ったが、私が怠けるのを正当化するために苦しんでいる演技をしていたと思ったのだろうと今になって結論付けることができた。

 その時、自殺未遂をして、私の怪我の酷さに区の精神障害者地域活動支援センターの職員が病院に連絡してくれたのだが、クズ医者は、そんなの狂言に決まっていると言ったそうである。自分がクズであるばっかりに、患者の訴えを信じず死者を出したら、どう思うのだろう。自分がしたことは省みず、やることはやったしな程度で終わらせるのかもしれない。

 医師に限らず、他の医師の言葉でいう患者の言葉を謙虚に聞く努力、他人を慮る想像力、それを身に付ける向学心がないのは恥ずかしいことだと思った。そうはなりたくないものだ。