身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

東京會舘と余裕がなかった私。

 Instagramの方に投稿したが、数年ぶりに文庫本だが文芸書新刊を買った。丸善のポイントカードを持っていったらhontoのポイントカードに変わりましたと言われた(苦笑)。タイトルは「東京會舘とわたし」、著者は辻村深月さん。私はInstagramで「會館」と投稿したが、正しくは「會舘」だと出久根達郎氏の解説にも書いてある。

東京會舘とわたし 上 旧館 (文春文庫)

 

 この本を購入したのは、まず、同氏の「ツナグ」が面白かったので、自分に向いている筆者だと思ったことと、もうひとつは舞台が東京會舘であることだ。しかし直木賞作家は皆、取材して書くと、直木賞色というべき色が出るのが興味深い。

 私はサラリーン時代、富士ビルヂングという東京會舘と棟続きになっているビルに通っていた。地下鉄の日比谷駅を降りて、東京會舘に入る出口に出て通過していた。しかし、通過こそしたものの、東京會舘に関する記憶は、全くというほどない。

 そもそも、その建物の容貌からして思い出すことができない。その会社に転職したとき東京會舘ティールームで面接をしたが、うっすらと記憶にあるのは赤い絨毯だけだ。このビジョンさえ帝国ホテルのそれと混同しているのかもしれないと思う。

 また、残業をしていると、先輩のOLさんが時間を見計らって値下げになるパンを買いに行っていた。しかし、東京會舘に、どのような店舗があったのか記憶にない。現在は有楽町の交通会館で営業しているレストランがあったのかも定かではない。

 余裕がなかったのだなと思う。通勤経路の建物なのに、まともに入ったことはない。それどころか、通勤途上の風景さえ記憶にないのだ。他方、食事を食べに行っていた新国際ビルヂングは、はっきりと記憶にあるのは、私の食い意地が張っていたからか。

 先般、有楽町に行ったとき、ふと思い立って昔の勤務先を訪ねてみたら建て替え中だった。東京會舘東京商工会議所・富士ビルヂング共同での建て替えだそうだ。記憶にある新国際ビルヂングは現存するのに、自分がそこで過ごした建物(群)を確認できないのは、なかなか寂しい。

 

P.S. 先般と書いたが、前回、行ったのは去年の9月6日、1年以上前のことだった。当時のBlogにも貼ってあるが、改めて写真を貼っておく。旧・富士ビルヂング側から。

[2018年09月06日][Instagram][丸の内]