身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

親子関係は、そんな簡単じゃない(映画「母さんがどんなに僕を嫌いでも」を観て)。

 既にSNSでは書いているし、感想を書く意図はなかったが、このような出来事があったので書かざるを得なくなった。親が私に嫌がらせをしてくるのは悪気があってのことではない、互いに寄り添えるはずで、それができないのは私の努力不足だと言う人がいたのだ。

 何を根拠にと訊くと、この映画だという。観て呆れた。どうして、寄り添おうと思ったのか、そして、どうやって寄り添えたのか。友達に和解した方がいいよと言われて思い立ち、食事を作ってあげたら心を開いてくれました。バカじゃないか。その程度の動機で食事を作れる心境になるか。なったとしても何の葛藤もないのか。

 Amazonのトップレビューが、これだ。

「綺麗事過ぎる」

実際に親による虐待を受け、いつまでもそのトラウマから抜け出せないで苦しんでいる人達にとってこの物語は軽すぎるはず。
重ければいいとも思わないけど、内容的にもあまりに端折り過ぎてて心に響かない。
500円出してまで観る価値はなかったな。

 

 軽いというより、安易で安直すぎる。猛勉強して東大に入りましたという映画だとしたら、動機として最高学府ってところに行ってみようかと漠然と思い、勉強も漫然と高校の授業を受けるという描写しかなく、さらに放課後は普通に遊んでいる様子が描かれている感じ。教科書を熟せば東大に入れるのですという映画を観ているよう。

 金返せどころか愚弄するのかと胸ぐらを掴みたくなった。違った意味で私の感情を掻き立てる作品だった。冒頭の吉田羊さんの苛立つ演技が巧いのだけが、唯一、平均を超えている感じか。冒頭だけ、ひと言ガツンと言って、あと1時間以上はホワイトアウト以下の映画だった。