身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

優しくして。

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 疲れが出て起きられず、午前9時過ぎにEメールの着信音で目が覚めた。活動量計(スマートウォッチ)のバッテリーが低下しています…。そして、怖い夢を見たように、こんなことで疲れている駄目な自分というものに慌てる。

 いつもお世話になっている前任の保健師さんに電話。ふんふんと話を聞いていて、特に向こうからは何も言わない。こちらは言うべきことを全部、言ってしまって、沈黙が流れる。そして、そういうとき、今まではどうしました? と言わる。

 落ち着くまで待って気持ちと付き合えるようになるように… 何度も言われている。向こうも、何度も言っているじゃん… という気持ちがあるのだと思った(あるいは、もういい加減にしてくれ)。

 しっかり目が覚めて、お詫びの電話を入れる。私は担当者ではないので、1日に何度も電話を受けることができないと言われる。なので、軽々しく電話をしてしまったお詫びを…。結局、昨日も書いたように、嫌われるのが怖いのである。

 東京は朝からシトシト雨が降っている。慌てながら充電器にセットした活動量計は、しっかりとセットできていなくて充電されていない。その間も腕に嵌めていたら記録できたじゃん…。もう、ボロボロである。

 私のスマートフォンには録音機能が付いている。話し終わったらボタンが出て「保存」と「消去」が選べるのだが、朝は朦朧としていたので、とりあえず後で聞けるよう「保存」にしていた。

 頭がシャキッとしてから聞くと、今日は天候が悪いから身体が起きるまで時間が掛かると思いますので、ゆっくりしてくださいと言われたり、会話の終わりには、ごめん下さい、私が礼を言うと、とんでもないですと言われている。決して優しくないわけではなかったのだ。

 それを聞かないで、嫌われたかもと思って電話をした私は軽々だったなと思う。それだけ、嫌われることを怖れてパニックが激しくなっていたのだ。今まで、親を含め、他人に不安を軽減してもらった記憶というのは、この人しかいないと思う。なので、甘えていたなと思う。

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 その場限りの慰めは応急措置に過ぎない。雨の東京で、もっと、前任の保健師さんのトータルな優しさに応えられるようにしたいと思った。

 

 

※イラストは土岐麻子さん「ひよこ劇場」より