身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

笑っちゃうほど出来すぎた不幸。

 今日も銀行回りをしていたが、駆けずり回りながら思った。無職といえど、なんで、こんなに忙しく動き回っているのに、母親に財産目当てだと罵られなければいけないのだ。それなりの財産をくれるのなら甘んじて受けよう。しかし、母親は数千万円も持っていくのに、私は、ちょっと高い国産車1台分くらいの額しか貰えないのだ。

 それなのに、相続の手続きは私が遺産をブン取るために嬉々としてやっている、なので協力はしないと言って、法律通りに分けないときには遺産相続協議書というものが必要なのに、そんな面倒なことはしないと言って憚らない。

 私は英文学の学者になるのが子供のころからの夢だった。それなりに勉強をしたし、それなりの大学にも受かった。けれど行かせてもらえず、社会人になって自腹で入った私学の雄といわれる大学まで力づくで辞めさせられた。

 かといって就職活動をしようとしても、専門学校の学生課に就職のためにスーツを買えと言われたが、進学させるからとスーツは買ってもらえず就職活動もできなかった。進学させると言うのにさせない、就職させないと言うのにさせない。

 就職しても留守の間に寓居に上がり込んで部屋を荒らして行ったりする。そして精神を病み、親は医者にお前のせいだから面倒を見ろと言われて私は微々たる金を貰っている。今は、学生よりも、区役所の人の話だと生活保護の人よりも、貧しい生活をしているのに、贅沢だ贅沢だと罵られる。

 専門学校に言われて就職のために免許を取っても家の車には指1本、触れさせてくれなかったし、自分で金を稼いでも、好きなところにも行かせてもらえず好きなものも食べさせれくれなかった。恋人も難癖を付けて追い払らわれた。なのに自分たちはゲレンデの恋で結婚し、毎月のように旅行に行っている。

 今でも思い出す、夏は40℃を超える熱い部屋に閉じ込められ、水も与えられずトイレにも行かせてもらえず、監視され、勉強をしていないと怒られた毎日。熱中症で倒れて病院に運ばれてもヤワだと怒られ、読書していても本を破り捨てられた毎日。

 そのくせ、先週も、来ないと孤独死してしまうと煩いので行ったら、入り浸りの叔父と私の悪口で酒盛りしている。今日は喫茶店で1日を過ごしクールダウンしたが、これが夜だったらバーで泣いていたね。こんな絵に描いたような不幸があるか。

 

 

P.S. 今日のカップ。私が喫茶店に行っていることを知ったら親は私を罵倒するだろう。

f:id:urigayatsu:20181112160905j:plain