身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

They are selling Kenka.

…喧嘩を売る。違います。"They are picking a fight"だが、中学校で習って以来、いちども使ったことがない(個人的に、こういうときは"a fight"なのか"fights"か判らなくなるということもある)。似た用法で使ったことがある表現は"They are aggressive.""They irritate someone."かな。

 さて、今日は、方々で喧嘩を目にした。最初の1つは、ひょっとしたら私も巻き込まれていたかもしれない。来年の物を求めに行ったときに東京駅から皇居に続く行幸通りが綺麗になったというので見に行ったときのこと。

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 丸ビルと新丸ビルの間って、こんなに広かったんだ… とか、大使就任の馬車行列って、ここを通るのかな? などと思っていたら、写真の左手に見えるように、妙な格好をして妙なポーズを取っている人たちが。思わずスマートフォンを向けたら「そこ、撮らない~っ!」と怒鳴られた。TVでも有名なお笑い芸人らしい。感情の抑え方はノーコメントで。

 次いで、神保町から都営新宿線に乗って新宿へ。首都圏外にいらっしゃる方がお読みかもしれないので書きますが、東京駅から新宿までは、JR中央線の快速で、おそらく20分ていどです。私は都営交通の乗車証があるので、あえての都営交通。

 大人になってから、新宿というのは、こんなに大人しい街だっただろうかと思うようになった。渋谷はファッションの街としても、新宿は、はやり家電量販店と繁華街という印象がある。ちょっと人混みがあるので覗いてみたら、マルイの中のアップルストアだった。

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 新宿も渋谷も銀座も原宿も、そして丸の内でさえ同じ店が入っている。逆に、今まで商店街・ショッピングゾーンだったところにもオフィスができている。わざわざ電車に乗って他所に行く必要がない。かくいう私も、たとえばビックカメラが新宿や渋谷にできて喜んでいる。

 なので、自分としては妙な違和感を感じるのだが、新宿に来て少しホッとした。デートしているカップルなんて、私が子供のときは、本当に新宿御苑くらいでしか見なかった。それが、普通のオシャレをしている人たちが溢れている…。

 ところが、である。帰りのバスで、若者が出口付近の吊り革にブル下がっていたのだが、老年という歳になるかならないかの女性が、降り際に「ここは出口なのね」と独り言のように言った。あえて「非難がましさを消しましたよ」的な鼻に付く物言いだった。

 あぁ、これは喧嘩になるな… と思ったら、その若者(といっても30歳より上)は「だから何だよババア」と切り返し、やはり喧嘩が始まった。加勢までしなくても、これは老婦人が悪いと思った。慇懃に弱者弱者した態度も、また鼻に付く。

 しかし、不用意に地雷を踏んでしまったのは仕方がないとは思うが、喧嘩を売る人の気持ちというのが判らない。この前、酒を飲みながら、友人が「悪意がある人は沢山いる」と話していたのだが、喧嘩は相手が嫌がるだけではなく、自分も返り血を浴びるわけでしょ…。勝ち目があると踏んで優越感に浸りたいのだろうか。

 そんなことを考えているのだから、まぁ、私も精神状態が良くはない。昼の丸の内で芸人の喧嘩は買わなかったが、帰りのバスで、若者と同じように老婦人に吹っ掛けられたら、私も喧嘩を買っていただろう。他にもネットを含めて色々な喧嘩を目にしたが書かない。