身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

気を引きたいエゴイストを許せない。

 未明に汗を大量にかいて目が覚めた。そして何度も恐怖で目が覚めるのだが、母は、私はもう駄目だと繰り返し、私の不安を煽る。私は人を好きになることも諦め、子供のころから遊びもさせてもらえなかったので遊びも知らず、何が楽しくて生きているのか解らない。


 親との関係が改善しなかった原因として相互の誤解というのがあり、ちと痛いなと思っている。

 実は、親切を装って我々の親子に近づいてきた人間がいて、それがクセモノだったのだ。

 私には、親が贈り物をして来て私を脅すように言ってきたと言う。しかし、私が親に直談判をしようとしても、親がテーブルに付かない。

 私が被告人として出廷した刑事裁判で、親は、私が毎日豪遊していると証言し、まったく情状酌量されなかった。

 私は親が嘘を言っているのだと思ったが、実は、その、寄ってきた人間が、親に嘘を吹き込んでいたのだ。

 親が贈り物をして私を脅すように言ったというのが嘘であることを知ったのは、親が他界する直前のことだ。

 その事が嘘だと私にバレると、今度は、私が、その人物に借金していると言って親から金を騙し取ろうとした。

 そして、その人物が親子双方が互いの反感を煽るために嘘を付いていたと気が付いた次第だ。

 先日、親が他界して、もう少し早く、その事に気がついていれば、親の生前に歩み寄りができたのになと思うと残念でならない。

 結局、その人物が我々親子の仲違いをさせた動機というのは、単に、我々の気を引こうとしただけに過ぎない。

 その人物は、それからも、私に構って欲しいと、朝の5時に家に押し掛けて玄関ベルを連打したりするので警察に相談した。

 そうしたら、今度は警察署に1日に数十回も電話しているという。そんな彼のエゴを、私は、絶対に許さない。