身の上話

身の上に起こった、嘘のような本当の話。タイトルは佐藤正午作品から。

決戦のメリー・クリスマス。

 別にクリスマスに特別な予定が入っているわけではない。おそらく今の日本人の大人は、クリスマスを特別な日だとは思っていないのではないか。

 それが海外となると違う。今日、ヨーロッパへクリスマスプレゼントを送ってくれと頼まれて、サラリーマン時代のころを思い出した。

 私は光学メーカーで貿易事務の仕事をしていた。当時は社内的には売り上げが高い製品ではなかったが、カメラで有名な会社だった。

 カメラとは一般ユーザー? 普通の人? には身近な製品だし、同時に少し高価な製品でもある。まさにクリスマスプレゼント好適品なのだ。

 私は世界最大のマーケット、アメリカ(カナダ・南米を含む)の担当だった。量もそうだが、世界で新製品が真っ先に販売される地域でもある。

 私がいた会社はクリスマス商戦に向けて一眼レフの新製品を出した。他の地域への輸出実績もないので、アメリカへの輸出は、私もバタバタだ。

 それに加えて、新製品の生産ラインに欠陥が見付かった。そのラインで作られたカメラは全部、不良品。一般紙にも載るほどの大問題だった。

 すごい単純な話で、トランジスタAとトランジスタBが反対に付いていたということだった。しかし台数が10万台オーダーが、すでに生産されているという。

 私は文系の社員なので、その対応が最善のものかどうか解らないが、会社はアメリカに数十人の技術者を派遣し、1台1台、修理してから出荷した。

 今になるとアメリカにしか輸出していないので、バックアップとして送る製品がなかったのだと思う。私にも別の物を輸出してくれという依頼はなかった。

 そのとき、上の方の人が、クリスマスに製品がお客様に届かなかったら大変なことになると青ざめていたのを今でも覚えている。

 仮にも一眼レフカメラだから、子供へのプレゼントというには、ちょっと高い。それでアメリカではクリスマスって大事なんだなぁと実感した次第。

 今日、個人輸出を頼まれて、そんなことを思い出した。個人輸出といってもプレゼントは請求(金の回収)がないから楽なのだが。

 写真は久しぶりに出動したタイプライター。学生(英語の専門学校)時代に使っていた物を、そのまま使っている。古いモデルなので劣化した部品が変えられない。

 だいたいの書類はExcelで作れるが、こういう伝票って、会社みたいにドットインパクトプリンターとかがないから、結局は手打ちだ。

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